【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第9章】バルギオラ事変の年のあれこれ。
【第2節】カナタとツバサとフユカとハルナ。
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……』と寂しがってしまうほどの懐きぶりでした。
【フェイトさん、泣かないで!(笑)】
こうして、カナタとツバサは新暦89年の8月には「生まれ故郷」のミッドチルダに帰って来た訳ですが、来春にはもう就学なので、急いで「ミッド人の小児としての、最低限の知識や常識」を身につけなければなりませんでした。
最初にして最大の難関は、当然ながら、ミッド語(ミッドチルダ標準語)の習得です。
幸い、ミッド語の発音は、日本人にとって、英語やシナ系の言語ほど困難な代物ではありませんでした。声調も無く、母音も普通の「アイウエオ」と「曖昧母音」の六つだけで、「外来語専用の母音」まで含めても全部で九つしかありません。
子音もむやみに連続することは少なく、日本人にとって本当に難しいのは、「L音」と「R音」の区別、および「破裂音のG音」と「鼻濁音のNg音」の区別ぐらいのものでした。
【日本人にとって、これらの音は「同じ音素の中の異音」でしか無く、普段、意識的には区別されることがありません。
つまり、大半の日本人は、「同じラ行音」でも『語頭ではおおむねL音で、それ以外の場所ではR音で』発音し、同様に、「同じガ行音」でも『語頭ではG音で、それ以外の場所ではおおよそNg音で』発音しているのですが、それらは全く無意識的な区別でしかないので、外来語で「語頭にR音やNg音が来たり、語中にL音やG音が来たり」すると、なかなか上手く発音できないのです。
なお、ミッド文字は全部で28文字あります。地球のラテン文字(全26文字)と比べると、C、Q、Xに対応する文字がありませんが、その代わりに、「一字で」英語のsh音やch音やts音やng音、さらには、ドイツ語のch(ツェーハー)の音を表わす文字があります。】
また、ミッド語は、文法的には「ラテン系の言語」に似ており、普通の文章では(苗字が名前の後ろに付くように)形容詞は名詞の後ろに付きます。
ただし、語順に関しては意外と自由度が高く、日常的には「古代のラテン語」と同様に、述語が文末に来ることも決して珍しくはありません。
また、綴りと発音もほとんど一致しているので、書いてあるとおりに読み、聞こえたとおりに綴れば、おおよそ間違いはありません。
【英語のような「訛りに訛った(綴りと発音とがかけ離れた)辺境言語」とは、言語としての「格」が違うのです。】
なお、他の管理世界の住民にとって、ミッド語を習得する上での困難は、決して発音上の問題ではなく、むしろ文法上の問題でした。
具体的に言うと、「名詞の格変化」や「動詞の活用」以外にも、他の言語にはあまり存在していない「人称詞」や「終助詞」の用法がなかなかに難しいのです。
ミッド語には、動
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