暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第9章】バルギオラ事変の年のあれこれ。
 【第2節】カナタとツバサとフユカとハルナ。
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ると、ドマーゴ船長は少し困ったような顔をしてから、こう答えました。
「いや。本当に、遺跡がひとつポツンとあるだけの世界ですよ。最初に何か大変なロストロギアが見つかったと聞いていますが、その後はもう大したモノは何も見つかっていません。
 もちろん、800年ちかくも前の遺跡ですから、学術的には『興味深い発見』も多少はあったらしいんですが、自分ら素人(しろうと)には、その辺りの専門的な話はサッパリでして……。
 ただ、四年前に、その遺跡を築いた人たちが乗って来た、当時の『移民船』だか『避難船』だかが発掘されましてね。スクライア一族の人たちも、また少しばかりヤル気を出しているみたいですよ。……とは言っても、スクライア一族の『主戦場』は今やベルカ世界ですからね。他の世界はどこも人員不足で、ドルバザウムでも、その避難船の調査はなかなか思うようには進んでいないのだそうです」

「ええっと……すいません。避難船を『発掘』したんですか?」。
「はい。自分も三年ほど前に一度、実際に見せてもらったことがありまして……と言っても、保存魔法がかかっていなかったのか、船体は『もういつ崩れ始めてもおかしくはない』という状況で、船内にまで立ち入らせてはもらえなかったんですが……外から見た限りでは、『ちょうど良い大きさの窪地(くぼち)に船を降ろして、上から土をかけた』みたいな感じでした。
 自分にはよく解りませんが、聞けば、あの〈ゆりかご〉も『元々は地中に埋まっていた』と言いますから……もしかして、古代ベルカの人々にとっては、常套(じょうとう)手段のひとつだったんでしょうか?」
 その(あた)りの事情に関しては、ドマーゴもあまりよく解ってはいない様子でした。

 その人員搬送船は低速船だったので、四つ合わせて680ローデの航路を進むのに680(ハウル)、つまり、丸5日と16時間を要しました。地球を()ったのが「一日目」の夕食後、ミッドに着いたのは「七日目」の正午(おひる)前のことです。

【低速船とは、現行の「BU式駆動炉」が開発される以前の時代の次元航行船と同様に、普段から「現在の管理局の次元航行艦における通常の巡航速度」のおよそ75%の速度で巡航している次元航行船のことです。
 主に「燃費の関係」でそうしているだけなので、もちろん、緊急時には100%以上の速度も出せるのですが、特に急ぐ必要の無い運搬船や、多くの民間船は、今もおおむねこの速度で運用されています。】

 その次元航行船は途中、ファルメロウとクレモナとデヴォルザムを経由しましたが、どの世界にも特に用事は無かったので、通常空間には一度も降りること無く、亜空間(一等航路と外湾)の中だけを(とお)って来ました。
 そんな訳で、窓の外の光景にずっと変化が無かったせいでしょうか。二人の6歳児は、
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