【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第9章】バルギオラ事変の年のあれこれ。
【第1節】新暦89年、8月までの出来事。
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寄ったりもしたのですが……。
ジークリンデから「エレミアの一族の秘密」について聞かされると、ヴィクトーリアも不承不承ではありましたが、いろいろと納得し、(かつてのルーテシアやファビアと同じように)エドガーやコニィとともに『この件に関しては決して他言しない』とジークリンデに約束したのでした。
なお、現地では、この年の7月中旬に、ルーテシア(24歳)とファビア(23歳)も揃って女児を出産していました。
ジークリンデの秘密出産からちょうど2年後の出来事でしたが、ルーテシアとファビアもジークリンデと同様に、「子供の、もう一方の親」については誰にも何も語らず、出産したこと自体も、はやてやエリオやキャロなど、ごく限られた人たちにしか伝えませんでした。
(ちょうど居合わせたコニィは、妙に手慣れた感じで、二人の出産の手伝いもしてくれました。)
また、同7月の下旬には、エリオとキャロが、スプールスからはるばるカルナージを訪ねて、ルーテシアとファビアに祝いの品々を手渡すとともに、この春、自分たちが「それぞれに」ジョスカーラ姉弟と婚約したことを二人に伝えました。
ただ、この姉弟には、『小児の頃には、先祖伝来の大きな屋敷で両親と仲良く暮らしており、とても幸福だった』という記憶が強く残っていたため、両親を殺されて屋敷を焼かれてから長らく放浪の生活を送っているうちに、その美しい「想い出」は二人の心の中で、またさらに強固なものとなっていました。
それで、二人はエリオとキャロに『できれば結婚後も、大きな家に仲良く同居して暮らしたい』と切実な希望を述べたのです。
しかし、スプールスの第五大陸は丸ごと「特別の」自然保護区であり、人間の都合でそんな大きな家屋を建てることなど「法律で」許可されていません。また、四人で別の場所へ移り住むとなると、もうスプールスに拘る理由も特に無く、むしろ積極的に「別の世界への移住」を考えるべきでしょう。
なお、ジョスカーラ姉弟は今も、昔のエリオやキャロと同様に、人間の多すぎる環境が「大の苦手」でした。姉弟は今もミッド語を習得している最中なのですが、「公用語がミッド語で、周囲に人間が少なくて、なおかつ、エリオやキャロが局員として働くのに困らない土地」というと、一体どこが良いのでしょうか。
エリオとキャロは、ジョスカーラ姉弟と婚約して以来、ずっとその件について考えていたので、二人は『この機会に何か良い知恵を借りられないものか』とばかり、ルーテシアに相談しました。
すると、ルーテシアはしばらく考えてから、こう答えます。
「そういう事情なら、あなたたちは結婚したら、来春には四人でカルナージに、この屋敷のすぐ隣に引っ越して来るのがベストだと思うわ」
(ええ……。)
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