【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第9章】バルギオラ事変の年のあれこれ。
【第1節】新暦89年、8月までの出来事。
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ては、その若者もまた、ティアナの目の前で逮捕されました。11年前のマリアージュ事件における「ルネッサ・マグナス」のように。)
ウェンディも、ひととおりティアナの愚痴を聞き終えると、それを慰めるかのようにこう同調しました。
「それは、アタシも似たようなモンだったっスよ。あれだけヤッておいて、『実は、敵方の諜報員でした』とか、ホント、勘弁してほしいっス。これじゃ、ただの『ヤラれ損』っスよ」
(もちろん、二人とも排卵抑制剤を常用しているので、どれだけヤッても「その種の心配」をする必要はありません。)
ウェンディはまだ一杯しか飲んでいないのに、すでにほぼ出来上がっていました。
『肉体の一部を機械に置き換える』ということは、その分だけ「生身の細胞の総数」や「血液の総量」が減るということなので、一般論としては、肉体を機械化すればするほど、「酒の回り」はむしろ速くなってしまうのです。
しかし、幸いにも(?)この二人はただグダグダと愚痴り続けるだけで、決してレティ提督のような「酒乱」ではありませんでした。(苦笑)
なお、ティアナは〈本局〉に戻った後、船内で慌ただしく仕上げた報告書を提出すると、すぐに休暇を申請し、そのまま受理されました。
『特に予定は無い』と言うウェンディを連れて、ミッド地上のエルセア地方、西の大海廊に面した港湾都市トーネスに降り、そこからは一人で郊外の「ポートフォール・メモリアルガーデン」へと足を運びます。
すでに8月も後半、命日には一か月ほど遅れてしまいましたが、ティアナはそこで兄ティーダの墓参りをしました。ちょうど20回忌になります。
学校はすでに夏休みに入っているようで、周囲には中等科の学生らしき十代前半の少女らの姿もありました。
(じきに、ティアナはそこで「ちょっとした事件」に巻き込まれてしまうのですが……それはまた別のお話です。)
兄の享年は21歳でしたが、ティアナはそのまま「祀り上げ」にする旨を公園墓地の管理人に伝えてから、クラナガンに帰ったのでした。
(これによって、後日、ティーダの墓標と遺骨は撤去されました。)
ちなみに、ヴィクトーリア(27歳)はこの年、執務官としては6年目でしたが、5月の下旬から8月の下旬にかけては初めての「長期休暇」を取り、丸三か月ほど、表向きは完全に行方をくらませていました。
実は、エドガーやコニィとともに、「一昨年からアルピーノ島に潜伏中」の友人ジークリンデの許を訪れていたのです。
長らく潜伏先を教えてくれなかったことに関しても、二年前に女児を出産していながら何の連絡も無かったことに関しても、最初のうち、ヴィクトーリアはかなり不満げな表情でした。そこで、彼女は随分と腹を立てた口調でジークリンデに詰め
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