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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第9章】バルギオラ事変の年のあれこれ。
 【第1節】新暦89年、8月までの出来事。
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 明けて、新暦89年。
 まず、1月には、高町家の四人が「エーリクとイルメラの10回忌」をひっそりと()(おこ)ないました。
 なのはとフェイトは、昨年にヴィヴィオとアインハルトが結婚した後で、『アインハルトの曾祖父母「ニコラスとフリーデ」が、実は、あの空港火災事件の被災者だった』と知って以来、婿殿(むこどの)の親類縁者にも相応の関心を払っており、今回はアインハルトやヴィヴィオとともに、エーリクとイルメラの墓前で祈りを捧げました。
 再来年の5月には、また「ニコラスとフリーデとラルフとローザの20回忌」をひっそりと執り行なうことになるでしょう。

 また、2月には、アルピーノ家の三人が「マルーダ(ファビアの母方祖母)の10回忌」を現地で執り行ないました。彼女の墓はミッドにありますが、そちらへ行くのは、祀り上げの時だけで充分でしょう。


 一方、この2月には、三年前の4月と5月に(おおよそ同じ時期に)結婚したジャニス(23歳)とコロナ(20歳)が、また仲良く同じ時期に元気な男児を出産しました。

 さて、ジャニスやコロナの側から見れば、この結婚は「相当な上昇婚」です。つまり、「実家よりも地位や階級が相当に高い婚家への嫁入り」であり、俗に言う「玉の輿(こし)」です。
 上昇婚も、多少の経済格差ぐらいならば何も問題は無く、むしろ大半の女性が結婚に際しては、それを目指している訳ですが、ここまであからさまに階級が違うと、当の女性にとっても、上昇婚は決して「楽なコト」ではありません。
(ごう)()っては郷に従え』という原則により、嫁入りした女性は(実際には、婿入りした男性も)実家で身に付けた「当たり前の感覚や常識」を捨て去って、婚家で新たに「上流階級なりの(上流階級ならではの)感覚や常識」を身に付け直さなければならないからです。

 少々嫌な話になってしまいますが、『何を「当たり前」と感じるか』は、(逆に言えば、『何を「常識はずれ」と感じ、()み嫌うか』は)実のところ、階級ごとに少しずつ異なっています。
 だから、玉の輿(こし)に乗った女性が、実家の感覚で「当たり前のこと」をすると、それはしばしば婚家では嫌われてしまうのです。
 ジャニスもコロナも、母親になる前に、まず嫁として「婚家の側から見て」恥ずかしくない女性にならなければなりませんでした。
 だからこそ、結婚から最初の出産までに、三年ちかくもの時間を要したのです。

 今回の男児の誕生には、サラサール家の人々もメルドラージャ家の人々も大喜びで、これによって、ジャニスもコロナも「婚家における嫁としての地位」は相当に安泰なものとなりました。
【これ以降も、二人は似たようなペースで子供を産み続け、最終的には、ジャニスは3男1女の、コロナは2男2女の
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