第131話『来訪者』
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月にとっては友達と楽しみたい気持ちの方が強いようだ。結月のことだからどうせそう言うと思っていたし、晴登もどちらでも構わなかった。
「邪魔? 邪魔なんて思わないよ」
「俺も結月も気にしないから、2人さえ良ければ一緒に回らない?」
「晴登君がそう言うなら……わかりました」
2人の配慮は嬉しかったが、そうよそよそしくされると逆に寂しいというもの。結月との文化祭デートは明日にでも取っておこう。
「2組の劇って明日はいつから?」
「今日と同じく午前の1枠目からですよ」
「あ、なら明日は観に行けそう。楽しみにしてるね」
晴登はまず一番行ってみたい2組の劇の日程について訊いてみる。今日はシフトが被って行けなかったが、明日は問題なさそうだ。
「晴登君に見られるのは少し恥ずかしいですね」
「お、優ちゃんにここまで言わせるなんて……部長さんやりますね」
「え、何が?」
「もう、刻ちゃん!」
晴登の言葉に対する優菜の反応は至って普通だと思ったが、何かおかしかっただろうか。さっきもそうだが、どうも気づかない内に何かしでかしているらしい。何かがわからないので対策しようがないが。
「じゃあ他に案は……みんなは行きたいとこある?」
「はーい! それなら"シャテキ"に行きたい!」
「"射的"? それならこの前夏祭りで……あ、結月はやってなかったか」
「そうそう。それにハルトが上手ってユウナが言ってたから見てみたい!」
「そうですね。とても上手でした」
「褒めすぎだよ」
夏祭りの思い出の一つ、射的。大地と勝負して、"晴読"の力を使って勝ったのは記憶に新しい。この力については父さん以外の誰にも言っていないので、傍から見れば晴登の射撃技術が優れているように見えることだろう。あまりやりすぎると面倒なことになりそうだし、今日は普通にやることにする。
「2人は?」
「うちは"マジックショー"に行きたかったんですけど、午前にもう行っちゃいました。ついでに途中で乗っ取っちゃいました」
「の、乗っ取った?」
「はい。うちのマジックショーになってました」
「さ、さすが」
言ってることはめちゃくちゃだが、刻ならやりかねないという謎の確信があった。
ということは、大地が刻のマジックを見たのはその時だろう。もしかして、最初から乗っ取るつもりで行ったんじゃないだろうか。そんな気さえしてきた。
「私も午前に莉奈ちゃん達を案内したんですけど、お二人を美術室に招待したいです。文化祭の間は展覧会をやってるんですよ」
「そういえば美術部だったね。優菜ちゃんが描いた絵もあるの?」
「はい。とっておきのがあるので楽
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