第131話『来訪者』
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な?」
「いけね、忘れてた。狐太郎君、整理券お願いできる?」
「はーい!」
整理券とは、今並んでいる人が午後からも同じ順番で並べるようにするためのものだ。
というのも、出し物は午前の部と午後の部に分かれており、その空いた少しの時間は休憩時間となっている。その間お客さんを並ばせっぱなしにする訳にはいかないので、それを解決するシステムが整理券という訳だ。
時計をしっかりと確認していた狐太郎のおかげで、お客さんに迷惑をかけずに済む。
「……三浦君って罪な男だね」
「何を悟ったの!?」
そのやり取りを見ていた隣の女子からの謎の発言に、晴登は困惑するのだった。
*
「ふ〜やっぱり晴登の飯はうめぇな!」
「はいはいありがとう」
「でも本当ですよ。こんなに美味しいオムライスは初めてです」
「え、優菜ちゃんまで? あ、ありがとう」
「照れてる〜」
「言わなくていいから!」
大地や莉奈には言われ慣れているが、優菜にまで言われるとさすがに嬉しさを隠せない。趣味程度ではあるが、やってて良かったと思った。
「午前の売上はどんなもん?」
「良いか悪いかわかんないけど、ずっと満席だったよ」
「ずっと!? お昼時だから並んでるのかと思ったら……」
晴登は思ったことをそのまま大地に伝えたのだが、とても驚かれてしまった。文化祭は人が多いし、どこのクラスもそういうものだと思っていたのだが、違ったのか。
「結月とか狐太郎君とか、接客してる人達のおかげかな」
「む、何言ってるの。ハルト達が作る料理が美味しいからに決まってるじゃん」
「でも客寄せしてるのは結月達でしょ?」
「評判になってるのは料理が美味しいからなの!」
「違うって!」
お互いが正論の水掛け論。傍から見ればそれはもはや、
「はいはい痴話喧嘩しないの。他のお客さんも見てるよ」
「「あっ……」」
「ふふっ」
「ホントに仲が良いんですね〜」
注目を浴びていることに気づき、恥ずかしさで俯く2人。そんな中学生らしい甘酸っぱい青春に、お客さんもみんな朗らかな笑みを浮かべている。
「そ、そういえば、優菜ちゃんはともかく、天野さんも一緒だったんだね」
「はい。私が一緒に行こうと誘ったんです」
「天野さんのマジックを見せてもらいたかったからな。でもありゃ確かに凄いわ」
「ね。本物のマジシャンって感じ」
「も〜褒めても何も出ませんよ〜。あ、優ちゃんのポケットからカードが」
「いつの間に!?」
有言実行する大地の積極性に驚かされるし、刻のマジックも絶好調。大地と莉奈もすっかり仲
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