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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第185話:崩壊の序曲
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 空中に佇むアダムを見上げる颯人達。彼の隣に立つサンジェルマンは、それまでアダムに対して感じはしたがあまり大っぴらにしてこなかった敵意をこれでもかと向けながら口を開いた。

「神の力を……その占有を求めるのであれば、貴様こそが私の前に立ちはだかる支配者だッ!」
「実に頑なだね、君は。忌々しいのはだからこそ……しかし間もなく完成する、神の力はッ! そうなると叶わないよ、君に止める事等」

 既に勝った気でいるのか、傲岸にして不遜な態度で見下ろしてくるアダムをサンジェルマン、カリオストロ、そしてプレラーティの3人が睨み返す。
 そんな中で颯人だけは、飄々とした態度を崩す事無く、しかし絶えずアダムの一挙手一投足を注視する様に観察していた。

「……完成”する”……つまりまだ完成はしてないって訳だ。本格的な力を発揮するまで、まだ若干だが猶予はあるって事」
「何?」
「颯人君?」

 颯人の小さな呟きを、隣のサンジェルマンだけでなくアダムも聞き逃しはしなかった。冷静な分析を口にする言葉の中に、確かな希望の気配を滲ませた颯人の言葉。それを聞いてアダムは苦々しい顔になる。

「まだ間に合うんだろ? 俺達は、そいつを止めるのがさ」

 そう言って颯人が光の柱の中に浮かぶティキを指差せば、アダムは強く歯軋りをした。それはつまり颯人の言葉が真実である事の証左。今のティキはそれだけであらゆる兵器を凌駕するほどの威力を発揮できるが、その実今の状態は身動きできない蛹も同然。蛹が傷付けば、蝶が羽化する事はない。颯人はそれを狙うつもりだった。

「サンジェルマンさん……それと、お2人も。これまでやってきた事、どう思ってる?」
「何の話?」
「払ってきた犠牲の話をしているワケか?」
「…………」

 唐突な颯人からの問い掛けに、カリオストロは首を傾げるがプレラーティは彼の言いたい事を察した。これまでに彼女が為してきた事の中で、颯人が物言いたい事があるとすれば払ってきた犠牲の事以外のある訳がない。察しの良いプレラーティはそれに気付き、カリオストロはそもそも犠牲になど興味も無かったので気付くのが遅れた。
 サンジェルマンはと言うと、彼女は自分が行ってきた事を片時も忘れた事など無かったので、颯人の言葉の意味に直ぐに気が付き顔を歪めて俯いた。

「アンタらがやってきた事は許せる事じゃない。これが終われば、その時は今度はアンタらとの決着を付けなきゃならねえ」
「だったら何よ? 最初からそう言う話だったでしょ?」
「まさか今更反故にする等と言うまいな?」
「まさか。ただ、今この時だけは後先の事考えず、蟠りなく手を取り合おうって話だよ。ありゃ、バラけて立ち向かうにはちっとしんどそうなんでな」

 圧倒的にして強大な敵。しかし逃げるわけにはいか
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