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八条学園騒動記
第七百三十一話 密林の生きもの達その十一
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「最低限の文明はある」
「そうなのですね」
「医者もいるしテレビもパソコンもだ」
「ありますか」
「水道もな」
「やはりターザンとかですね」
「違う、アマゾンの集落でも草原の遊牧民でもな」
 アマゾンだけでなくモンゴル等の話もした。
「やはりな」
「文明とはですか」
「全くはだ」
 それこそというのだ。
「無縁ではない」
「そうなのですね」
「そこが二十世紀までとは違う、そもそも道具自体がな」
「文明ですね」
「火をおこし」
 そうしてというのだ。
「石や木の道具を使えば」
「もうですね」
「文明のはじまりだ」
「人間のそれですね」
「人間は道具を使って人間となったとも言われるが」
 それに火もだ、そうした説もあるのだ。
「そう考えるとな」
「それならですね」
「自然の中で暮らしていてもな」
「人間は文明と共にありますね」
「少なくとも文明を否定する文章を書いてもだ」
 そうしてもというのだ。
「その文章それを構成する文字はな」
「文明ですね」
「その最たるものだ」  
 そう言っていいというのだ。
「まさにな」
「左様ですね」 
 上等兵もそれはと頷いた。
「文字こそはです」
「文明の最たるものだな」
「何と言いましても」
「文明を否定したいなら」
 そう望むならというのだ。
「絶対にだ」
「文字は捨てることですね」
「そして服もだ」
 これもというのだ。
「もうな」
「完全にですね」
「それこそ腰に皮を巻くだけでだ」 
 それでというのだ。
「もうな」
「服ですね」
「立派なな、そして服もな」
 これもというのだ。
「文明だ」
「その証ですね」
「人は火を使ってだ」
「道具を使って」
「服を着てだ」
 そうしてというのだ。
「文明をはじめた」
「そうしたものはですね」
「全てだ」
 まさにというのだ。
「文明だ」
「それに他ならないですね」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「文明を否定するのならな」
「火も道具も使わず服を着ず」
「野生のままでだ」
 完全なというのだ。
「暮らすことになる」
「文明を否定すると」
「アマゾンにおいてもな」
「そうなりますと」
 上等兵はその話を聞いて言った。
「人間ではです」
「生きていけないな」
「到底」
「その通りだ、アマゾンの様な環境ではだ」
「人間は丸裸では生きていられないですね」
「そうなる、だが文明を否定するならな」
 それならというのだ。
「そうした生活を送ることになる」
「そうですか」
「極論だがな、アマゾンでもな」
 ジャガーを観つつ言うのだった、大尉はそれからもアマゾンの生きもの達を観つつ上等兵に話していった。



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