第百五話
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第百五話 朝食の後は
博士は小田切君と共にフレークに牛乳をかけたもので朝食を摂った、そのうえでこう言ったのだった。
「さて、朝飯を食ったしな」
「一日をはじめますか」
「今日はちょっと動物園に行ってじゃ」
そうしてと小田切君に話した。
「生きものを学んで来る」
「生物学ですか」
「そうなるのう、天王寺の方のな」
大阪のというのだ。
「そこに行ってな」
「そうしてですか」
「色々な生きものを見てじゃ」
「学ばれるんですね」
「見ることもな」
これもというのだ。
「学問であるからな」
「行かれるんですね」
「うむ、それにじゃ」
「それに?」
「天王寺動物園には歴史もある」
博士は小田切君に神妙な顔になって話した。
「悲しい歴史もな」
「ああ、戦争のですね」
「わしは確かに人を殺すが」
その数およそ二億人と言われている。
「凶悪犯とかならず者だけじゃ」
「普通の人は絶対に殺さないですね」
「小悪党は嫌いでな」
それでというのだ。
「遊びや実験で殺すが」
「それでもですね」
「他の命は奪わん」
「人はそうで」
「生きものはな」
「絶対にですね」
「そして戦争で犠牲となった命はな」
彼等はというのだ。
「人も生きものもな」
「悼まれますね」
「そこは人間と同じじゃ」
人間でない存在として述べた。
「だからな」
「それで、ですね」
「これよりな」
まさにというのだ。
「その為にもですね」
「行って来る」
天王寺動物園にというのだ。
「大阪まで行ってな、小田切君もどうじゃ」
「僕もですか」
「タロもライゾウもな」
彼等にも声をかけた、これがまた一つの物語のはじまりとなるのだった。
第百五話 完
2023・10・15
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