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第四十九話 合鏡その十三

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「動いているが」
「まだわからないな」
「しかしだ」
 それでもというのだ。
「信頼出来るな」
「あいつはな」
 封真もそれはと答えた。
「安心してだ」
「話を聞いてだな」
「信じてくれ、地の龍でもな」  
 敵でもというのだ。
「あいつはまた違う考えだ」
「人間を滅ぼすつもりはないか」
「そんな考えはない、そして草薙さんもな」
 彼もというのだ。
「そうだがな」
「あいつもだな」
「同じだ」 
 そうだというのだ。
「人間が生きていて欲しい」
「そう考えているか」
「だからな」
 それでというのだ。
「お前にも協力している」
「そしてお前は止めないか」
「俺は正直なところ人間を滅ぼすことは考えられない」
 神威に真剣な顔で答えた。
「とてもな。お前と小鳥を護りたいとは考えているが」
「それでもか」
「人間を滅ぼす。そうすることはな」
「考えられないか」
「何か別のことにさえ感じる」 
 自分達とはというのだ。
「大体そんなことをしてだ」
「何になるか」
「そうも考える、別に地の龍でもな」
「人間を滅ぼしたいとは思わないか」
「どうしてもと考えている人はいない」
「一人もか」
「庚さん位か。いや」
 これまで見てきた彼女を思い出してだ、封真は気付いた顔になり右手を自分の顎に当ててそのうえで言った。
「あの人もどうも」
「違うか」
「明らかに人間の世界を楽しんでいる」
 そうだというのだ。
「そしてだ」
「そのうえでか」
「人間への憎しみも感じない」
「そうなのか」
「お姉さん、そちらの夢見の人だな」
「姫様だな」
「あの人を憎んでいると言っているが」
 それでもというのだ。
「微笑んで言うし目にも憎しみはな」
「ないか」
「一切感じない」
 そうだというのだ。
「あの人はな」
「なら誰もか」
「地の龍も考えていない」
 人間を滅ぼそうとはだ。
「人間を嫌いな人もいないしな」
「むしろ逆だな」
「ああ、しかし微かにでもな」 
 それでもというのだ。
「感じることがある」
「お前もか」 
 神威は封真の今の言葉に眉を動かして応えた。
「実は俺もだ」
「お前もか」
「感じることがある」
 そうだというのだ。
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