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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第8章】なのはとフェイト、復職後の一連の流れ。
 【第8節】キャラ設定8: ヴァラムディとフェルガン。
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かれこれ五か月ちかくもの間、こちらに居候をさせていただきましたが、どうやら、御家中(ごかちゅう)には(わたくし)たちのことをあまり(こころよ)くは思っていない方々(かたがた)がおられるようです」
 ヴァラムディは口下手な弟に代わって、「かつての〈東の王〉の一族」の老当主に対してそう語り、自分たちは一旦、スプールスに落ち延びるつもりであることを告げました。
(くどいようですが、この世界の「一か月」は、20日あまりです。)

「せっかくの御厚意に何ひとつ報いることができずに、こちらとしても大変に心苦しいのですが、(わたくし)たちがこのまま(かくま)われ続けていては、いつまた彼等がドン・ヴァドラムザのような凶行に及ばないとも限りません」
 つまり、自分たちがここにいると、あなたまで奸臣(かんしん)弑逆(しいぎゃく)されてしまう、と言っているのです。孫のような(とし)の娘にそこまで言われては、老当主としても、この二人の要求をそのまま聞き入れるしかありませんでした。
「私たちに、来月のスプールス行きの便に『密航』することを、どうぞお許しください。『こちらの(あずか)り知らぬ間に勝手に乗り込んでいたのだ』ということにしていただければ、もしあちらで私たちの身に何かがあったとしても、あなたにまで(るい)が及ぶことは無いでしょう」
 つまり、いざとなったら「トカゲの尻尾(しっぽ)切り」のように自分たちを切り捨ててくれても構わない、と言っているのです。

 少しでも恩義に報いようとするその態度に感銘を受けて、老当主は二人にそっと「秘密の話」を打ち明けました。
「解った。では、あと一年だけ異郷の地で辛抱(しんぼう)しておくれ。そして、来年のこの季節になったら、きっとまた二人でここに戻って来てほしい。
 まだ極秘の話だが、実は今、我々は来年の秋に南方州へ進攻する予定で、その準備を進めているのだ。今回、ドン・ヴァドラムザの手の者がこの島で殺人の罪を犯したことによって、大義名分も増えた。来年には、我々は必ず奴を討ち倒す!」
 こうして、ヴァラムディとフェルガンは、老当主に『来年の秋分を過ぎたら、必ず戻って来る』と「個人的に」約束をして、故郷の世界ダムグリースを離れたのでした。

 新暦87年11月、ジョスカーラ姉弟は貨物船に密航し、〈管61スプールス〉第二大陸の首都次元港に降り立ちました。もちろん、「密航」とは名ばかりで、船長からは当座の資金として、現地で普通に使える「相当な額の紙幣の束」なども手渡されています。
 ヴァラムディとフェルガンも、当初はこの首都圏でひっそりと一年やり過ごすつもりでいたのですが、翌月には、ドン・ヴァドラムザの手の者たちが早くもこちらの世界にまでやって来ました。やはり、老当主の(もと)には内通者がいたのでしょう。
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