【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第8章】なのはとフェイト、復職後の一連の流れ。
【第8節】キャラ設定8: ヴァラムディとフェルガン。
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で彼の「食客」として一夏を過ごしました。
フェルガン(15歳)の心は、長い逃亡生活と領民の裏切りによって、すっかり荒んでしまっていましたが、その一夏(実質、百日たらず)で、ある程度までは回復したようです。
しかし、10月下旬(現地の暦では、「15月」の後半)になると、また事件が起きました。
夜も更けた頃、ドン・ヴァドラムザの手の者がその館に侵入し、二人を捕らえて連れ去ろうとしたのです。
もし彼等が最初からヴァラムディとフェルガンを殺すつもりで来ていたら、二人とも助かってはいなかったかも知れません。事実、手前の部屋にいたメイドたちは、悲鳴を上げる一瞬の余裕すら無く、出会い頭に刺し殺されています。
奥の部屋にいたヴァラムディとフェルガンは、五年あまりの逃亡生活で身につけた「野生の勘」で瞬時に状況を察すると、相手が音も無く扉を開ける前に、あらかじめ室内に幻術を仕掛け、侵入者たちをその場で何とか「返り討ち」にしました。
ヴァラムディとフェルガンにとっては、自分たちに対して本当によく尽くしてくれたメイドたちを殺されてしまったこと自体も大変な問題でしたが、それ以上に問題なのは、『誰かが「手引き」をしない限り、侵入者がここまで入り込めるはずが無い』という事実でした。
この頃には、ヴァラムディとフェルガンにも『東方州の勢力ですら、今や一枚岩ではないのだ』ということは、よく解っていました。
しかし、実際のところ、『一体誰が「手引き」をしたのか?』など、いくら考えても解りませんし、老当主の身内や配下たち一人一人を疑い出したら、本当に際限がありません。
もちろん、メイドたちの仇討ちとして、ドン・ヴァドラムザに報復したい気持ちもありましたが、二人は、今しばらくはその気持ちを抑えることにしました。
今ここで怒り狂ったとしても、『ただ老当主に無駄に迷惑をかけるだけ』になってしまうことは明らかだったからです。
しかし、『自分たちがこの島にいる限り、第二、第三の侵入者が必ずやって来る』というのも、また明らかです。
とは言え、この島ですら安全でないのなら、二人にとって、もはやどの島も安全ではあり得ないでしょう。もちろん、最終的にはドン・ヴァドラムザを斃すしかないのですが、今はまだ、そのための準備が整ってはいません。
二人はよく話し合った上で、全く不本意ながら、一旦はこの世界から離れることにしました。
幸いにも、この島の旧王都の郊外には小さな簡易次元港があり、今も近場の諸世界と細々とした交易が続けられています。
しかし、言葉の問題があるので、『スプールス以外の世界へ行く』という選択肢は、あまり得策とは思えませんでした。
「
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