暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第8章】なのはとフェイト、復職後の一連の流れ。
 【第2節】新暦86年の出来事。(後編)
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ています」
 そんな挨拶が終わると、ユーノはダールヴに「先程のトーマの話」を伝えました。
「確か、マグゼレナの(あた)りは、君の支族のテリトリーじゃなかったかな?」
「そうです。私たちの支族では、昔から戦災孤児や浮浪児を同族に迎えるのも、さほど珍しいことではありませんでしたからね。私と同じように『あの支族に拾われた』という小児(こども)も、決して少なくはなかったと思いますよ。……ああ。実は、私も7歳の頃まで、ドナリムの廃都オルバランで浮浪児をしていたんです」
 最後の一節は、トーマに向けた説明です。それは、トーマにとっては、少しばかり親近感の湧く話でもありました。

 ちなみに、「スクライア一族の名簿」は五年ごとに管理局に提出され、五十年で公開情報となります。
 しかし、ユーノが実際に名簿を確認してみると、ダールヴの支族の名簿の「新暦元年版」と「新暦6年版」に、「アヴェニール四兄妹(長子ガルムス、長女ロミア、次子タルース、次女ファリア)」の名前は確かにありましたが、「グレイン・サルヴァム」の名前はどこにも見つかりませんでした。
 年齢から考えて、トーマの曽祖父母は、タルースとファリアの方でしょう。
 なお、前5年の版にも新暦11年の版にも、アヴェニール四兄妹の名前は記載されていなかったので、どうやら、彼等は改暦の直前にスクライア一族に加わり、それから十年ほどで一族から離籍したようです。
 一方、グレインは、タルースよりもさらに十歳ほど若いはずですが……似たような時期に離籍した少年は、その支族の名簿の中には特に見当たりませんでした。
 あるいは、同じスクライア一族でも、また別の支族の出身だったのでしょうか。

 結局のところ、その日は、ユーノもただ調査を「約束」しただけでしたが、それでも、トーマは充分に満足してミッドチルダに帰りました。
 そして、ダールヴは早速その調査を引き受け、明日にでも、まずはアヴェニール四兄妹の故郷である〈管13マグゼレナ〉の廃都ディオステラへ向かうことにします。
 しかし、ユーノはふと「嫌な予感」に駆られ、念のため、広域捜査官のギンガとチンクに頼んで「時効成立事件の再捜査」という名目で、護衛を兼ねてダールヴに同行してもらうことにしました。

【実際には、ユーノの「嫌な予感」も、「今回は」杞憂(きゆう)に終わったのですが……ダールヴは、この調査の過程でギンガとチンクからは随分と「人格的に」気に入られたようです。
 調査を終えて〈本局〉に戻る際に、ダールヴは二人から『今後も今回と同じように、ただスクライア一族の出身だというだけでは、現地で調査に協力してもらえないこともあるだろうから、今後、司書長の名前を出しづらい時などには、「広域捜査官の外部協力者」と自称して私たちの名前を出してくれても構わない。ただ
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