【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第8章】なのはとフェイト、復職後の一連の流れ。
【第2節】新暦86年の出来事。(後編)
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傷したまま魔力が全く使えない状態なので)一人で次元航行船の定期便に乗って〈本局〉の〈無限書庫〉を訪れました。
そこで、トーマはユーノから思わぬ歓待を受けます。
「やあ。よく来てくれたね。実のところ、僕は、君からは深く静かに怨まれているかも知れないと思っていたんだが」
「え? 何故ですか?」
「その表情からすると、君の方は本当に気にしていなかったようだね」
ユーノは思わずひとつ安堵の息をつきました。それから、トーマの疑問に答えようと、こう言葉を続けます。
「いや。五年前のリベルタでの件なんだが……今でも、僕は時おり思うんだよ。もし自分があんなギリギリのタイミングで情報を提示したりしていなければ、リリィ君もいきなりあんな無茶はしていなかったんじゃないだろうか、とね」
「まあ……確かに、彼女のことは思い起こすと今でも結構、辛いんですが……それでも、司書長さんからの情報が無ければ、最悪、リベルタで特務六課全体が負けていたかも知れなかった訳ですからね。あの状況であなたを怨むのは、さすがに逆怨みというものでしょう」
「君自身の口からそう言ってもらえると、僕としても肩の荷がひとつ下りた気分だよ。……さて、こんな場所にまで、はるばる何を訊きに来たんだい? 他でもない君の頼みなら、できる範囲内で大概のコトは引き受けさせてもらうよ」
トーマとしては、ここまで好意的な態度は予想外のものでした。今までそれほど親しくしていた訳では無いので、正直なところ、もっと雑な対応をされても文句は言えないと思っていたのです。
そこで、トーマは素直に疑問をぶつけました。
「実は、つい先日のことですが、ヴァイゼンで少しあやしい話を耳にしました。自分の曽祖父母がスクライア一族の出身だったと言うのです。……そこまでは、まだそれなりに信憑性のある話なんですが……さらには、CW社の会長もスクライア一族の出身だったと言うんですよ。
真偽のほどは定かではありませんが、妙に気になるんです。もしよろしければ少し調べてはいただけませんか? 確か、曽祖父母の出身地は、マグゼレナだったと聞いたことがあります」
そこへ、ふとダールヴが顔を出しました。
「ああ。ちょうど良いところに来てくれたね、ダールヴ。紹介しよう。こちらは、五年前の某事件で重要な役割を務めてくれた、トーマ・ナカジマ君だ。……それから、トーマ君。あちらは、なかなか身動きの取れない僕の代わりに、あちこち飛び回ってくれているダールヴ・スクライアだ」
「初めまして、ダールヴと言います。まあ、事実上、ユーノ司書長の従者のような存在だと思ってやってください」
「ああ。どうも、初めまして。トーマです。昔はいろいろありましたが、今はミッドの地上部隊で普通の事務員をやっ
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