【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第8章】なのはとフェイト、復職後の一連の流れ。
【第1節】新暦86年の出来事。(前編)
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、ティアナも〈ゾグリモッド事件〉で長らく足止めを食らったりしましたが、今回は幸いにも、何の事件にも遭遇すること無く、管理局直轄の次元港で普通に補給を済ませただけで、また出航することができました。
ハドマンドとヴェトルーザをつなぐ航路は、いわゆる〈聖十字航路〉の東西路で、通常の巡航速度では約12時間の距離です。
本局標準時で18時過ぎにその航路に入り、夕食後、しばらくしてから8時間たっぷりと睡眠を取って、いつもどおり朝6時前に起床。フェイトが朝食前に艦橋に顔を出した時には、もうヴェトルーザは目の前でした。
いつもの朝の挨拶の後、フェイトはふと、セディールにこんな話題を振りました。
「そう言えば、提督。あなたはヴェトルーザの生まれだそうですね」
ミッドを始めとする多くの世界には、ヴェトルーザ人に対して「保守的で、頑固で、分不相応にプライドばかりが高い」という負のイメージがありますが、セディールを見ていると、それが単なる偏見でしかないことがよく解ります。
セディールは、いつもどおりの「必要以上に丁寧な口調」でこう語りました。
「ええ。とは言っても、私はもう20年前には〈本局〉の次元航行部隊に転属していますからね。正直なところ、最近の現地の事情には、さほど詳しくないんですが……。
旧暦の〈統合戦争〉の時代には、ハドマンドと組んで最後まで戦い続けていた世界だったから、なんでしょうか? ほんの30年ぐらい前までは、まだ『戦時体制』のようなノリが随所に残っていましてね。
我が家でも、私が幼い頃は、元軍人で『お堅い性格』の曽祖父がまだ生きていましたから、『家庭では、歌舞音曲の類は一切禁止』だったんですよ。(苦笑)」
「ええ……。(絶句)」
「実のところ、当時はヴェトルーザ全体で見ても、音楽などの芸能方面はまだあまり発達していませんでしたからね。その方面で生計を立てようと思ったら、他の世界へ行った方が早い、というほどの状況でした」
「まあ、妹たちから伝え聞くところによると、10年ほど前からは、デヴォルザムで名を上げた連中が『凱旋』して来たりして、その方面の状況も随分と改善されたらしいんですけどね」
「あのデヴォルザムで、ですか?」
「もちろん、第三大陸〈カロエスマール〉での話ですよ。『一つの太陽、二つの月、三つの大地』という、あの世界の売り文句は伊達ではありません。あそこは、大陸ごとに住民も文化もまるで違っていて……という話は御存知ありませんか?」
「聞いたことはありますが、私は以前、第一大陸の方で仕事をした時、どうにも堅苦しい雰囲気で困り果てたことがあったので、どうしても、その時の印象の方が強くて……」
「ああ。確かに、第一大陸の方はデヴォ
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