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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
第七十六話 不安
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にしているが、手元に宇宙艦隊の陣容が記されたペーパーがある。

宇宙艦隊司令長官:ミュッケンベルガー元帥
宇宙艦隊総参謀長:グライフス大将

クライスト艦隊:クライスト大将、一万五千隻
ヒルデスハイム艦隊:ヒルデスハイム伯爵大将、二万五千隻
ケルトリング艦隊:ケルトリング中将、一万二千五百隻
フォーゲル艦隊:フォーゲル中将、一万二千五百隻
シュムーデ艦隊:シュムーデ中将、一万二千隻
ゼークト艦隊:ゼークト中将、一万二千隻
シュトックハウゼン艦隊:シュトックハウゼン中将、一万二千隻
メルカッツ艦隊:メルカッツ中将、一万二千隻
ギースラー艦隊:ギースラー中将、一万二千隻
マッケンゼン艦隊:マッケンゼン中将、一万二千隻

 十個の正規艦隊、これにミュッケンベルガーの直卒する二万隻が加わる。こうやって並べてみるとやはりウチの艦隊だけが目立つ。二万五千隻、ミュッケンベルガーの直卒艦隊より規模が大きいのだ。これには理由があった。両ノルトハイム、すなわちアントン中将とベルタ中将の事だが、当初二人共正規艦隊の司令官に昇格する筈だったのだが、当の二人がこれを拒否したのだ。

”ヒルデスハイム一門の艦隊司令官だぞ俺達は“

“俺達がオジキを支えないで誰が支えるって言うんですか”

 確かに彼等が居ないとなると、ヒルデスハイム艦隊の力は半減どころではなかった。しかしヒルデスハイム艦隊は既に帝国軍の正規艦隊に組み込まれており、二人共職制上、分艦隊司令では居られない。そこで軍三長官、ブラウンシュヴァイク公及びヒルデスハイム伯の協議の結果、ヒルデスハイム艦隊は正規艦隊ではあるが軍団編成とする、という事になった。アントン、ベルタの両中将は正規艦隊司令官並の扱いを受け、両名の統率は艦隊司令官であるヒルデスハイム伯が行う、という事になった。とんでもない人事だが、これにはブラウンシュヴァイク公の意向が強く働いていた。ブラウンシュヴァイク一門のうち、フレーゲル男爵家、コルプト子爵家の艦隊を解散し、その艦艇と構成員を軍に供出すると公が申し出たのだ。

“この国難の時、皇帝陛下を支える者として軍に協力したい”

 と言い出したのだ。両家の艦隊は正規軍に比べると練度は低いものの、先年叛乱軍と矛を交えた実績もある。しかも両家合わせるとその艦艇数は一万を越える。急速に陣容を整えなくてはならない帝国正規軍にとっては渡りに船だった。一万隻を越える戦力提供の前にはヒルデスハイム艦隊の編成に関する話などどうとでもなる事らしい。だが艦隊を取り上げられる両家にとっては堪らない。お飾りとはいえ艦隊を保持するのは大貴族の大貴族たる証だからだ。当然両家は難色を示したが、断れない理由があった。昨年の宮廷内の混乱、ベーネミュンデ侯爵夫人の一件である。罪状がない以上、両家を公式
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