第三章
俺たちはまた職員室にて説教をくらっている。そしてこれはケース 比企谷。
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まり可愛そうなもんだから迂闊にもなんだか元気づけてあげたくなってしまった。
「先生。大丈夫です!比企谷はきっとそんなろくでなしになったりしません。ちゃんと家事とかしっかりできる...、言うなれば、そう!ヒモの中のヒモ、まさしくヒモを超えたヒモになってくれるはずですっ!」
「どんな超ひも理論だっ!」
あれ?ダメだったか。比企谷も納得して力強く頷いていたのに...。
将来の夢を否定された比企谷は人生の岐路に立たされていた。夢が断たれようとする瀬戸際、ここにきて比企谷は理論武装を開始する。
「ヒモ、と言えば聞こえは悪いけど専業主夫というのはそんなに悪い選択肢ではないと思うんですよ」
「ふん?」
平塚先生は椅子をぎしっと鳴らして比企谷の方を睨む。聞いてみてやるから早く言えコラ、といった姿勢である。ヤンキーかよ...。
「男女共同参画社会とやらのおかげで、既に女性の社会進出は当然のこととされてますよね。その証拠に平塚先生だって教師をやっているわけだし」
「...まぁ、そうだな」
比企谷からしたら、掴みはOKってところか...。比企谷は話を続ける。
「けど、女性が職場に多く出てきたら、そのぶん男性が職にあぶれるのは自明の理。そもそも古今東西、仕事の数なんて限られているじゃないですか」
「む...」
「だよなー」
夢だのなんだのなんて限られてる。少なくとも凡人には。夢と希望に満ち溢れた子供たちに教えてあげたい。この救い用のない現実を...。君たちの生きる世界は退屈、君たちがする努力はすべて無駄、自分にはきっと才能があるはずって思ってもなにも出てこないよ、って教えてやる。
「例えば、とある会社の五十年前の労働人口が百人で男性率百パーセントだったとしましょう。そこえ、五十人の女性の雇用を義務付けられたら当然もといた男性五十人はどこかへいかなきゃいけない。ごくごく単純な計算でもこれですよ。ここに昨今の不景気具合を加味すれば男性労働者の受け皿ががくっと減るのは当たり前のことです」
比企谷がそこまで言うと、平塚先生は顎に手をやり考える姿勢をとった。
「続けたまえ」
「会社というもの自体が以前よりも人を必要としなくなったのもあります。パソコンの普及やネットの発達で効率化が図られ、一人あたりの生産能率は飛躍的に向上したわけで。むしろ、社会からしたら『そんな働く気まんまんでも困るんですけど...』という状態。ワークシェアリングとか、まぁなんかそんな感じのあるでしょう?」
「確かにそういう概念はあるな」
どうしよ、平塚先生もだいぶ納得してる。...俺も専業主夫目指そうかな。
「それに、家電類も目覚ましい発展をしたことで誰がやっても一定のクオリティを出せるようになった。男だって家事はこなせます」
「それはもう
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