第五十話 眠りと死その六
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「これからな」
「学んでくね」
「そうするわ」
こう答えたのだった。
「僕も、ただ」
「教えさせてもらうね」
「それは頼むわ」
「ほなね」
「何か綾乃ちゃんに教わるってな」
中里は気恥ずかしそうな顔になった、今度はそうなった。
「悪いけどな」
「悪ないで、起きた世界でも」
そちらでもというのだ。
「ええし」
「そうなんか」
「学校の勉強やったら」
「そうか、ただ僕誰かに教わるまではな」
学業についてはだ、芥川はこう述べた。
「別にな」
「成績悪くなかったね」
「そやからな」
「学校の勉強の方はやね」
「自分でやってくわ」
こう言うのだった。
「そっちは」
「そやねんね」
「そして」
そのうえでというのだ。
「ちゃんとな」
「やってくんやね」
「そうしてくわ」
これが学業での中里の返事だった。
「僕も」
「ほなね」
「そういうことでな」
「頑張っていってや」
「そっちはな」
「それで神話は」
日本神話はというのだ。
「うちからも教わって」
「覚えてくな」
「ほなそういうことで」
「頼むな、ただな」
中里はここでまた苦笑いになってこんなことを言った。
「気になるのは」
「何なん?」
「古事記と日本書紀はちゃうな」
この二つの書はというのだ。
「内容が」
「ああ、そのことやね」
綾乃も知っているという顔で応えた。
「この塔にもおられる小碓命さんが言っておられたね」
「あの方もな」
「あの方古事記やと殺されるけど」
他ならぬ弟の倭建命にだ、綾乃は今自分達がいる塔の中で小碓命が言ったことをそのまま言ったのだった。
「日本書紀やと生きておられて」
「美濃に入られたな」
「そこで祀られてるね」
「神様としてな」
まさにというのだ。
「そうなってるわ」
「そやね」
「ああ、その違いがな」
それがというのだ。
「気になるわ」
「それやね、その違いも受け入れることがね」
「ええんか」
「どっちが正しいんやなくて」
そう考えるのではなくというのだ。
「両論併記やね」
「歴史でもあるな」
「そやで、そやから古事記も日本書記も」
そのどちらもというのだ。
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