暁 〜小説投稿サイト〜
ハッピークローバー
第百十話 下着の素材その三

[8]前話 [2]次話
「女の子はね」
「そうはいかないわね」
「だからね」
 それでというのだ。
「日本の下着はデザインもいいから」
「いいのね」
「私が思うにね」
「そんなにいいのね」
「それでそうした下着を着られて」 
 そしてというのだ。
「私幸せよ」
「そうなの」
「女の子にしか見せなくても」
 この娘にしてもそうだった、言外に交際相手はいないことを言ったが自分では全く気にしてはいなかった。
「それでもね」
「生地も仕立てもよくて」
「デザインもいいからね」
「幸せなのね」
「あんたも北朝鮮の下着は嫌でしょ」
「最近外国産の下着も入ってるけれどね」
 一華はそれでもと答えた。
「安くね」
「そういうのも悪くないのね」
「そう思うけれど、ただね」
 ケニアの娘にどうかという顔で言うのだった。
「今共産圏のことお話したし」
「あそこもでしょ」
「共産圏で」
 それでというのだった。
「その中でもね」
「最貧国よね」
「ええ、もう食べるものすらない」
「食べるものない国の下着はね」
「それどころじゃないから」
「酷いわよ」
 返事は一言だった。
「というか着られるだけましよ」
「そんなレベルね」
「ケニアは平和でも」
 アフリカの星と呼ばれている、この大陸の諸国の中ではかなり平和で安定し発展している国のうちの一国なのだ。
「他の国はね」
「内戦の国とかあるわね」
「これが結構多くて」 
 一華に困った顔で言うのだった。
「碌でもない独裁者が出て」
「私利私欲ばかりの」
「汚職に弾圧に身内贔屓ってね」
「滅茶苦茶なのよね」
「ボサカとかアミンとかね」
 具体的な人物の名前も出した。
「酷いのがね」
「出て」
「無茶苦茶な政治をやって」
「国が滅茶苦茶になって」
「それで反発する人達が蜂起して」
 弾圧や貧困に耐えかねてのことである。
「そこに大国とか周りの国が介入して」
「内戦になるのね」
「対外戦争にもね」 
 内戦で収まらずというのだ。
「なるのよ」
「よく聞くわ」
 一華にしてもだ。
「この学校アフリカから来てる子も多いし」
「先生でも職員さんでもね」
「だからね」
 それでというのだ。
「私もね」
「聞くわよね」
「こうしたお話をね」
「それでそんな状況だと」
「下着なんて言ってられないわね」
「食べることすらね」
「衣食住って言うけれど」
 それでもとだ、一華は話した。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ