第三章
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「昔は新聞や雑誌は嘘を吐かない」
「そう思われていたんですね」
「神話でした」
それはというのだ。
「まさに、それでこの話を信じて」
「北朝鮮に行った人が多いんですね」
「そして行ってみまして」
実際にというのだ。
「全く逆でした」
「そうした人達がそうした場所で言ったことと」
「それで行った人達の人生はです」
これはというのだ。
「台無しになりました」
「地獄に行ったから」
「そうです、それでそんなことを言った人の一人が北朝鮮に行って」
その時にというのだ。
「北朝鮮に帰った人達に囲まれて問い詰められたそうです」
「貴方が言ったことと全く逆じゃないかと」
「そうでした、滅茶苦茶になった自分達の人生どうしてくれるのかと」
「悪質な詐欺みたいな話ですね」
議員はここまで聞いて顔を顰めさせて応えた。
「それはまた」
「ですがこの話はゴロツキ達に絡まれたとです」
「言ったんですか」
「そうでした、電車の中で言われたらしいですが」
北朝鮮に実際に帰った人達にというのだ。
「それで終わりです」
「何の誠実さもないですね」
議員は稻垣の話に邪悪それもこの上なく醜悪なそれを感じ顔をさらに顰めさせてそのうえで述べた。
「詐欺師そのものですね」
「それも悪質なですね」
「詐欺罪にならなくても」
法的にはそうであってもというのだ。
「人として」
「私もそう思います、かつての日本ではです」
「そんなことがあったんですね」
「覚えて下さい、尚そう言った人も新聞も雑誌もです」
稻垣も顔を顰めさせた、そうして議員に語った。
「今も誰も何処も責任をです」
「取っていませんか」
「そうしています」
「非道の極みですね」
「その非道がまかり通っていたことを覚えて下さい」
「政治家として」
「そうします、それでその言われた人それに新聞は」
議員は稻垣に真剣な目で問うた。
「誰でどの新聞でしょうか」
「言われたのは寺尾五郎、そしてその新聞は」
稻垣は夏の甲子園と極めて深い関わりのある新聞社の名前を出した、議員はその新聞社の名前を聞いて唸った、それ以降彼はその新聞社についてこう言う様になった。詐欺師の新聞社嘘吐きであると。その事実を知ったが故に。
北朝鮮の帰国事業では多くの北朝鮮の主張を鵜呑みにした宣伝が日本の一部知識人や政治家達によって行われた、そしてそれは嘘を吐かないと思われていた新聞や雑誌で行われそれを信じた人達が多く帰って行った。そのうえで二度と帰って来なかった。
だがこのことについて責任を取った者は一人もいないという、寺尾五郎という人物もその一人で彼は北朝鮮に行った時に実際にこうしたことがあったという、だが彼も責任を取っていない。寺尾はもう世を去っているが彼は果た
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