第一章
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人気スポット
その街のその場所は常に人特に男が出入りしている、観光名所ではないがそうした場所である。だが。
その場所についてだ、その街に生まれ育っている」小学校に入ったばかりの須藤浩平は首を傾げさせて両親に尋ねた。
「あそこ何で皆で入りしているの?」
「ああ、あそこか」
「あそこね」
両親は街を歩いていた時にその場所の前で指差した我が子に苦笑いで応えた。
「あそこはな」
「ちょっとね」
「まあ何ていうかな」
「大人になったらわかるわ」
街で喫茶店を経営している両親はこう答えた。
「そうしたらね」
「だから今はな」
「浩平はまだ子供だから」
「わからなくていいぞ」
「子供だから?どうしてかな」
浩平は首を傾げさせつつ両親に応えた。
「それは」
「まあそのうちわかる」
「あそこがどうして人気あるかね」
見れば今も多くの男が出入りしている、様々な建物が立ち並んでいて看板が他の場所より遥かに派手である。
「そのうちな」
「大人になってね」
「そうなんだ」
浩平はこの時は首を傾げさせているばかりだった、だが。
中学生になってだ、彼はやや面長で高い鼻ときりっとしつつ優しい感じの目を持ち黒髪を長く伸ばした長身の痩せた外見になっていたが彼もわかった。
「あそこ日本でも屈指の風俗街だったって子供の頃知らなかったよ」
「色々な風俗店あってな」
「ラブホも凄く多いんだよな」
「あそこはそうだな」
「凄い場所らしいな」
「ああ、流石に中坊はいけないけれどな」
浩平はそれでもと言った。
「凄いらしいな」
「ソープにファッションヘルスにな」
「昔ながらの茶屋もあるらしいな」
「それでホテルの設備もかなりらしいな」
「コスプレも色々あって」
「とんでもない場所らしいな」
「らしいな、俺も何時かな」
浩平は憧れを持ってクラスメイト達に言った。
「どんな場所か中に入ってな」
「見に行きたいな」
「どんなお店があるか」
「出来れば実体験だよな」
「ソープランドとかヘルスとか」
「デリヘルもあるらしいぜ」
「もうない風俗はないらしいしな」
クラスメイト達も言うのだった、中学生であった彼等にとってその場所は憧れの場所となっていた。
浩平はそれから高校生になり大学生にもなったが。
家の仕事喫茶店のそれを手伝っている時にカウンターの常連の老人から笑ってその場所の地名を言われた。
「浩平ちゃんあそこはもう行ったかい?」
「いえ、まだ」
浩平はカウンターの中で皿を洗いながら答えた。
「ないです」
「そうか、じゃあ一度な」
「行ってきたらですか」
「いいだろ、家の仕事したらバイト代くれるだろ」
「ええ、まあ」
この辺り両親はし
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