第一章
[2]次話
神の宿る木
調和神ヴィシュヌの馬であるラクシュミーは富と吉を司っている、この女神がヴィシュヌの妻となった時の話である。
神々が不死の薬アムリタを造った時にこの女神は生まれた、すると神々はこんなことを言ったのだった。
「創造神ブラフマーにはサラスバティー女神がいる」
「破壊神シヴァにはパールバティー女神がいる」
「しかし調和神ヴィシュヌにはまだ奥方となる女神がいない」
「今回ヴィシュヌ神はかなり活躍してくれた」
「ではこの女神はヴィシュヌ神が娶るべきだ」
愛らしい顔立ちに豊かな胸と黒く奇麗な髪の毛を持つ小柄な女神を見て話した。その手は四本である。
「そうすべきだ」
「後はヴィシュヌ神がどう判断するかだが」
「果たしてどうか」
「私としてはまずこの女神の話を聞きたい」
ヴィシュヌは神々に落ち着いた声で答えた、非常に穏やかで理知的な顔立ちをしており四本の腕を持っている。
「まだ名前も聞いていないしな」
「そうか、ではな」
「まずはこの女神の考えを聞こう」
「そして名前もな」
「流石に相手の名前も知らないで結婚はない」
「言われてみるとな」
神々も頷いた、そしてだった。
ヴィシュヌは自ら女神の前に来て彼女の名を尋ねた。
「そなたの名前は何というか」
「ラクシュミーといいます」
女神は微笑んで名乗った。
「以後お見知りおきを」
「それではな。それでなのだが」
ヴィシュヌは女神の名を聞き覚えてからさらに言った。
「私は今妻がいない、それでだ」
「私を妻にですね」
「迎えたいが」
「それでは。ただ貴方の妻になるには一つ条件があります」
ラクシュミーはヴィシュヌに微笑んで話した。
「貴方のお力を見たいので」
「そしてその力がか」
「確かなものなら」
それならというのだ。
「私もです」
「私の妻になるか」
「そうしたいですが」
「わかった、ではだ」
ヴィシュヌは微笑んで答えた。
「その試練を受けよう」
「はい、それではです」
ラクシュミーはヴィシュヌの返事を聞いて述べた。
「私はこれからある木に隠れます」
「木の中にか」
「そうします、私がどの木に隠れているか」
このことをというのだ。
「見極めてです」
「そうしてか」
「そしてです」
そのうえでというのだ。
「その木に触れて私の名前を呼んでくれたなら」
「その木から出て来るか」
「そうさせて頂き」
そうしてというのだ。
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