第三章
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「まさにな」
「左様ですね」
「戦いに勝ち勝利を行うと」
「その様に」
「だからな」
その為にというのだ。
「エニシダの小枝だ、ではこれから自らだ」
「そう名乗られますか」
「プランタジネット家と」
「その様に」
「そうするとしよう」
こう言ってだった。
伯爵は自らの家をプランタジネット家という名前にした、伯爵はイングランド王の娘と結婚していてだった。
その息子であるアンリがイングランド王ヘンリー二世となり。
さらにその息子がリチャード一世となったが彼は高らかに言った。
「我が家はエニシダの家だ」
「はい、まさにです」
「エニシダの花に誓いました」
「戦いの勝利と正義を行うことを」
「その両方を」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「その花を挿しているのだから枝だ」
「家名の通りに」
「先々代の方がそう定められた様に」
「左様ですね」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「エニシダを紋章にしてだ」
「そうしてですか」
「そのうえで、ですか」
「イングランドにも用いられますか」
「この国の」
「国章とする」
エニシダをというのだ。
「そして勝利と正義の証をする」
「そうされますか」
「これより」
「その様にされますか」
「そのうえで戦う」
王は高らかに言った。
「よいな」
「わかりました」
「ではその様にしましょう」
「これより」
「ではな」
強い声で言ってだった。
王は剣を抜き自ら戦場に向かった、この王こそがだ。
獅子心王リチャード一世である、勇猛で強い王だったが人々はその王の話を聞いて彼の紋章を見て言った。
「獅子心王の勝利にはエニシダがあったのか」
「エニシダの花が」
「そして枝が」
「ではエニシダの枝は勝利の枝だ」
「そうなるな」
人々はこう話してだった。
エニシダの枝を勝利の枝と呼ぶ様になった、全ては岩の上に生えていたこの木からのことであるのは歴史にも書かれている。そして今もこの木の枝を勝利の枝と呼ぶ人がいるという。
勝利の枝 完
2013・8・11
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