第二章
[8]前話
「もう定めてある」
「それは誰ですか」
「誰にしますか」
「一体」
「火烏達は桑の木にいるな」
このことをここで言った。
「夜の間は」
「はい、朝になると飛び立ち」
「そして夜にそこに戻ります」
「世界で一際大きな扶桑の東から飛び立ち」
「また西側に戻ります」
「それならあの扶桑にだ」
その木にというのだ。
「火烏達を動かさせる、これからはだ」
「日は一つ」
「火烏達にはまとまって動かさせる」
「そうしますか」
「そうする」
こう言うのだった。
「いいな」
「わかりました、それではです」
「その様にしましょう」
「そして昼を定めましょう」
「確かなものに」
廷臣達もそれならと頷いた、そしてだった。
彼は自らだ、扶桑のところに行って話した。
「これよりな」
「その様にしてですか」
「昼を定めるが」
「私がですね」
「それを司るのだ」
こう言うのだった。
「いいな」
「わかりました」
木は即座に答えた。
「それではです」
「以後な」
「その様にです」
「火烏達を頼むぞ」
「私はあの者達の家なので」
それ故にというのだ。
「帝のお言葉であり」
「そなたの言葉ならだな」
「必ずです」
間違いなくというのだ。
「聞きます」
「そうだな、ではな」
「これよりですね」
「日は一つでな」
そしてというのだ。
「常に昼に東から西に動きだ」
「世を照らしてですね」
「定まった恵みを与える、日は定まった時に定まった動きをせずして世に益を与えることはない」
尭は強い声で言った。
「余もそれがわかった、ではだ」
「以後ですね」
「このことが変わらない様に定める」
こう言って実際にこのことを天の理の一つとして定め今に至る。
この話は十の日により世が乱れ尭が弓の名手?を遣わして十のうち九の日それに火烏を射抜いて一つそれに一羽にして収めたという話もある、だが異説としてこうした話もあり面白いと思い紹介させてもらった。一人でも多くの人が読んで頂いたなら幸いである。
十個の太陽 完
2023・9・11
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