第三部 1979年
孤独な戦い
威力偵察 その2
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能搭載の戦術機部隊であった。
美久に搭載した推論型AIの100分の一の人工知能で、マサキの指示に完璧に動く者であった。
もちろん人は載っていないから、軌道も回転も制限がなかった。
その上、機関砲の振動も気にしなくてよかったので、余計な心配はほぼなかった。
泥のようになったBETA勢は、急転して、マサキが引き連れた戦術機隊へ、突っこんで行った。
ざ、ざ、ざッと泥飛沫が2万の怪獣に煙り立った。
と見るまにである!
アヴェンジャーGAU-8ガトリング砲が、咆哮をあげ、火を噴いた。
30ミリ機関砲に当たって、そこに倒れ、かしこに倒れ、血を噴いて、呻くものが、列をみだし始めた。
血けむりの中へ、後続の1万5千の部隊は雲の如く前進を開始して来た。
マサキの方では、それまでの戦闘を、戦術機隊にまかせて、後方で寂としていた。
「よしッ!かたを付けるぞ」
颯爽と、戦術機体の目の前に現れ、射撃形態へ変形を開始した。
「ジェイカイザー、発射準備」
BETA勢は、グレートゼオライマーを目がけて、幾たびも近づいて来た。
射撃準備が整うまで、無人操縦の戦術機12機が、マサキを護衛した。
ガトリング砲、フェニックスミサイル、滑腔砲などが、無数の敵を撃滅させた。
だが、彼らはひるまない。
敵は、後から後から繋がってくる。
無人誘導の戦術機は、粘着性の高い油が充填された、ナパーム弾を投擲する。
戦車級も燃え、突撃級も燃え、要塞級も燃えた。
ジェイカイザーは次元連結システムを搭載する以上、本来、充填は不要である。
マサキが時間をかけたのは、試射を経ずに、第一射でBETAを殲滅する為であった。
美久がもう一体のゼオライマーに載っているので、標準を手動でするしかなかったためである。
「発射!」
ジェイカイザーの一撃は恐るべきものであった。
大地はとたんに狂震し出した。
山も裂け、雲もちぎれ飛ぶばかりである。
硝煙は周囲をつつみ、まるで蚊の落ちるように、その下にBETAは死屍を積みかさねた。
突如として起きた、土星軌道上にある衛星の謎の大爆発。
世界最大を誇るヘール望遠鏡によって、衛星・タイタン消滅の一部始終が観測されていたのだ。
その件は、直ちに米国の国政の中心であるホワイトハウスに知られることとなった。
それはマサキが基地に帰って、二日後の事であった。
会議の冒頭、NASA局長は、米国大統領に、
「大統領閣下!
すでに今週に入って、太陽系の各惑星で謎の衛星爆発があったことは聞い
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