第三部 1979年
孤独な戦い
威力偵察 その1
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徐々に疲労を感じ始めていたマサキは、左の袖をめくりあげ、腕時計を覗き見る。
日本時間では、深夜2時過ぎか……
そろそろ戻らないと、明日に影響しよう。
「美久、仕上げにかかるぞ。例の新必殺技を使う」
「本当ですか」
「せっかく人的被害の及ばない木星まで来たのだ。今更、何をためらう必要がある」
「このグレートゼオライマーから撃つメイオウ攻撃がどれほどの威力か……
正直、私でも想像できません」
困惑する声を上げる美久をよそに、マサキは不敵な笑みを浮かべる。
妙に含みのある笑いだった。
「破壊範囲も、ジェイカイザーやプロトンサンダーの威力から推定して……
通常のメイオウ攻撃と比べ物にならないでしょう」
人造人間として、副操縦士として、アベックとして。
口に出せない美久の心情が、マサキにはよくわかる。
こんなものでは手ぬるいのだ。
もっと驚かせてやるぞ……
美久の当惑ぶりを見るのは、マサキにとって大きな悦びである。
マサキは操作卓に並ぶテンキーを、素早くブラインドタッチした。
「フハハハハ、だからこそ。
BETA事木星の衛星を全て壊して、新必殺技の威力を全世界に喧伝する必要があるのさ」
それまで垂れ下がっていた機体の両腕が、胸の位置までゆっくりせりあがって来る。
ほぼ同時に、目と胸と両方の手の甲にある宝玉が、漆黒の宇宙の闇の中で煌々と光り輝いた。
グレートゼオライマーの機体は、射撃指令を今や遅しと待っている。
「化け物どもめ、グレートゼオライマーの真の力を思い知るがいい」
マサキは叫びつつ、いっそう攻撃の準備を早める。
「出力全開」
メイオウ……
なんとも恐ろしい音がして、胸と両腕の間から光が噴出した。
それは、グレートゼオライマーの新必殺技、「烈・メイオウ攻撃」である。
今までこんな攻撃をしたことがないのに……
すさまじいまでの衝撃の波が、機体の内部にいる美久の電子頭脳を忘我の境地にさらっていった。
烈・メイオウ攻撃の一撃は、文字通り強烈だった。
一瞬にして、衛星ガニメデを崩壊させ、宇宙空間からその姿を永遠に消し去ってしまった。
ショックと感動が同時に美久を襲った。
受ける爆風は操縦席さえ振るわせるのに、飛び切り上等の興奮が次々に沸く。
もはや美久には、BETAへの攻撃の躊躇などなかった。
むしろハイヴごと、惑星ごと破壊することに喜びさえも覚えた。
「烈・メイオウ攻撃」の攻撃が木星の各衛星にぶつかると、衝撃波が一気に機体に浴びせられた。
美久は、夢の世界を漂うような心地がした。
「今のは次元連結システムのちょっとした応用にしか過ぎない。
本当の力は、まだまだ、これからだよ……」
グレートゼオライマーの操縦席
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