第三部 1979年
孤独な戦い
威力偵察 その1
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も、何万というBETAが忽然地上から消え失せた。
水しぶきをあげ、ごうッと、凄まじい一瞬の音響とともに、その影が見えなくなった。
開いていた指を閉じ、手刀の形に変える。
その際、指先から放たれるビームが収束され、一本の刃の様になった。
「受けるが良い。この冥王の力をな」
要塞級めがけて、戛然、一閃の刃がおりてきた。
どうかわす間も受ける間もない。
要塞級は真っ二つになると、血煙を噴いてすッ飛んだ。
「美久、あれを使うぞ。射撃体勢への準備に入れ」
「わかりました」
その言葉と同時に、背中に搭載されたクワガタの形をしたバックパックが中空に飛び上がる。
ほぼ同時に腰の左右にあるフロントアーマーが胸のあたりまで跳ね上がる。
草摺型のフロントアーマーは90度回転し、垂直に向きを変える。
機体の正面に降りてきたバックパックは、フロントアーマーから両脇を挟まれる。
ガチャンという鈍い金属音が響き渡ると同時に、バックパックが正面に接続された。
その瞬間、グレートゼオライマーの目が、漆黒の闇に不気味に浮かび上がった。
それは中・遠距離用エネルギー砲への、変形完了の合図でもあった。
「チリ一つ残さず灰にしてやる、BETAどもめ。
このジェイ・カイザーでな!」
発射口にエネルギーが徐々に充填されていく。
充填完了のランプが操作盤に付くと、右の操縦桿を目いっぱい自分の方に引き寄せる。
「こいつから逃げられると思うな」
忽然と、堰を切られた怒濤のごときものが、グレートゼオライマーの目の前にへなだれ入った。
しかし、すでにそのときBETA勢は完全に逃げる道を失っていたのである。
砲声は、瞬時の間に起って、BETAの大半を殲滅した。
ビーム砲の一撃で、怯むBETAの軍勢ではなかった。
地は鳴る。音は響く。
濛々と土煙を上げて、あたかも堰を切って出た幾条もの奔流の如く、BETAの全軍は、先を争って、マサキの元へ馳けた。
100万を超える大群が攻め寄せるも、マサキは平然としていた。
その瞬間、機体の後方にあるバーニアを全開にし、上空に飛びあがる。
木星の強力な磁場すらも、グレートゼオライマーの機体には影響は与えなかったのだ。
「プロトンサンダー!」
オメガ・プロトンサンダーとは、雷のオムザックに搭載した原子核破壊砲の改良版である。
米海軍第7艦隊を一撃で殲滅した、このエネルギー攻撃はマサキの手によって強化されていた。
範囲、威力ともに8倍に増強され、100万の軍勢は一瞬に消えた。
木星のBETAは抵抗力を持たず、グレートゼオライマーの敵ではなかった。
すでにガニメデでの激烈な戦闘は、3時間近く経とうとしていた。
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