第三部 1979年
孤独な戦い
威力偵察 その1
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までに、2年近くかかったが、こうして一応形になると何とも言えない気持ちである。
8個の特殊装備の内、4つに限定したのも完成を早める原因になったろう。
何よりも、これでこの宇宙を自在に飛び回れるマシンが完成したのだ。
甘いカラメルと炭酸の味は、どんな美酒よりもうまく思えた。
グレートゼオライマーの飛行試験は、深夜に行われた。
例の如く、マサキは美久と共に、単騎で高高度の飛行試験を行う名目で基地を飛び立った。
高度2万メートルまで上昇した後、木星近辺に転移した。
漆黒の闇の中に浮かぶ、巨大なガス惑星。
水素とヘリウムによる、幻想的な階調と複雑な模様。
まるでそれは、天下の名品である曜変天目の茶碗を思い出させてくれる。
俺は、人跡未踏の木星まで来たのか。
マサキは、かつてない最高の充足感に浸っていた。
このグレートゼオライマーの特殊武装を使いこなせれば、地球を、太陽系のすべてを俺の物にするのはたやすい。
これさえあれば、BETA抹殺の夢も、夢で無くなろう。
またとない精神的な満足感に、一人涙を流していた。
まず試験は、両足にある54セルのミサイルで行われた。
近距離防空用24セル、遠距離防空用30セルの核弾頭搭載ミサイルが一斉に衛星ガニメデの地表に向かって放たれる。
事前の赤外線レーダの探査で、およそ1000万のBETAが群生していることは確認済み。
遠距離用弾頭は、およそ1万メガトン(100億トン)。
近距離用弾頭は、15メガトン。
15メガトンとは、広島に投下された原爆に相当する威力である。
搭載された核ミサイルは、すべて別次元から転移される仕組みになっていた。
それ故にどれだけの量を使おうと、機体のエネルギーが尽きない限り、無限に攻撃できた。
広範囲の核攻撃は、突撃するしかないBETAにとって、効果的であった。
木星の衛星では、ハイヴ建設以来攻撃を受けていなかったので、光線級が存在しなかったのだ。
ガニメデの地表面に降りるとBETAの大群は、畢生の勇猛をふるって、無二無三猪突してきた。
核の熱で、ガニメデの表面を覆った氷が解け、一斉に大量の水が周囲を覆う。
戦車級、突撃級、要塞級などは、氷を蹴り、霜にまみれ、真っ白な煙を立てて、怒涛の如く、ゼオライマーに接近してくる。
その矢先である。
「ルナ・フラッシュ!――」と一声、わめき、レバーを引く。
グレートゼオライマーの指の先から、超高速で光の弾が放たれていく。
ルナフラッシュとは、ローズセラヴィーに搭載された連射式のビーム兵器である。
欠点は一斉射撃のたびに、充電せねばならぬことであったが、次元連結システムのおかげで無限に射撃が可能となったのだ。
たった一回の射撃だけで
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