第七百三十話 種類が違うその十三
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「酒は飲まずな」
「ビールもですね」
「時々飲む位だった」
「飲んではいましたか」
「ドイツ圏では今もビールは酒とみなされない時がある」
「あまりにも常に飲んでいるので」
「水の様にな」
その域でというのだ。
「朝食欲がないとだ」
「ビールに生卵を入れて飲みますね」
「それを栄養補給にする位にな」
手軽な朝食にしているのだ。
「ビールを飲んでいるからな」
「お酒にはですね」
「含まれない場合もある、それでだ」
「ヒトラーも飲んでいましたね」
「だが彼は酒とは無縁でだ」
そうした生活であってというのだ。
「ビールを飲んでもな」
「他のドイツ人と比べると」
「殆ど飲まなかった」
「そうでしたか」
「それで痛風にもならなかった」
ただし歯が悪くかつ晩年は身体がむくんでいたという。
「そうだった」
「そこは人それぞれですね」
「そして連合ではな」
この国ではというのだ。
「ビールはエウロパと同じくだ」
「よく飲まれていますね」
「しかしだ」
それでもというのだ。
「連合は酒は夜に飲むものでだ」
「朝から日常的に飲みませんね」
「あくまで夜だ」
「仕事が終わってからですね」
「飲む、ロシアは別だがな」
この国はというのだ。
「あの国から酒を取り上げるとな」
「暴動すら起こるとか」
「どんな政権でも潰れる」
ロシアで酒を規制すればというのだ。
「帝政ロシアもソ連もだ」
「それで、ですね」
「崩壊した」
「それまで多くの矛盾があろうとも続いていたのが」
「酒を規制するとな」
その途端にというのだ。
「支持を失いな」
「倒れたのですね」
「酒を飲んで働けだ」
大尉はこの言葉も出した。
「あの国はな」
「酒を飲むなではなく」
「連合の一国だが」
「あの国は別ですね」
「そうだ」
こう話すのだった。
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