第百三十話 最高のカードその十
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「その努力をです」
「続けていくことですね」
「そうされるなら」
「私は幸せになれますね」
「必ず、不幸はあっても」
「小さな不幸ですね」
「乗り越えられる不幸でしかです」
それがあってもというのだ。
「ないので」
「だからですね」
「安心されて」
そしてというのだ。
「人生を歩まれて下さい」
「そうします」
「私もおおむね幸せですが」
速水は自分のことも話した。
「一つ残念なことがありまして」
「といいますと」
「こと恋愛はです」
こちらのことはというのだ。
「葛飾のあの人の様に」
「フーテンのですか」
「はい」
笑って言うのだった。
「お一人だけをなのですが」
「それでもですか」
「つれないです」
そうだというのだ。
「どうにも」
「店長さんもてないですか」
「実は色々声を掛けられますが」
女性からというのだ。
「しかし」
「それでもですか」
「私はその人だけなのです」
「想い人は」
「生涯」
確かな声で言った。
「そうなのです」
「そうですか」
「いや、実にです」
苦笑いを浮かべて話した。
「苦労しています」
「そちらのことは」
「非常に。ですが希望はです」
「持っておられますか」
「何時の日かです」
「その人とですか」
「一緒になりたいです」
こう言うのだった。
「私も」
「そうですか」
「私は私自身のことは占うことは」
「占い師さんはですね」
「しないと言われていますね」
「左様ですね」
「はい、しかし」
それでもというのだ。
「実は多くの占い師がです」
「占われますか」
「私のことはここではです」
「言われませんか」
「そうさせて頂きます、ですが」
それでもというのだ。
「望みがないと出ても」
「それでもですね」
「私はあの人を諦めません」
「お好きなので」
「そうですので」
だからだというのだ。
「一生です」
「そうですか、それだけ魅力的な人なんですね」
「小山さんもお会いしたことがあるかと」
「その人にですか」
「そうかと」
「どんな人でしょうか」
咲はそう言われてもわからず首を傾げさせた。
「その人は」
「まあお気付きになられなくても」
「いいですか」
「出来ればそうである方が」
咲に微笑んで話した。
「私としましては」
「有り難いですか」
「はい」
そづあというのだ。
「むしろ」
「そうですか」
「そしてです」
それにというのだった、速水は脳裏に黒づくめのスーツに赤いネクタイの切れ長の黒い後ろで団子にした黒髪の長身の彼女を思い出しつつ話した。
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