第四十九話 合鏡その九
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「丁さんが見たそれもね」
「あくまで運命の一つですね」
「そうだよ」
丁にも答えた。
「本当に私達の動き次第でね」
「変わるのですね」
「何とでもね」
「ではもう一人のわらわの動きも」
「これで変わるよ」
「そうですか。ですが」
それならとだ、丁は言った。
「助かった筈の」
「空汰さんだね」
「彼はです」
「嵐さんのことだしね」
「動きます、そして」
「神威君がいるよ」
北都は微笑んで答えた。
「そして封真君もね」
「本来の彼のままだからですか」
「だからね」
それ故にというのだ。
「意識してよ」
「彼を手にかけることはないですか」
「確かに人間が滅ぶ運命になる可能性は高くて」
北都はこのことは認めた。
「まだね」
「その危険はありますね」
「もう一人の丁さんがいるから」
「そうですね」
「けれどね」
それでもというのだ。
「きっとね」
「それはですね」
「空汰君も生きて」
そしてというのだ。
「最後は神威君と封真君がね」
「何とかしてくれますか」
「二人ともそのつもりで全力で動いていて」
「力もある」
「だからね」
「人間は滅びず」
「世界もね」
どちらもというのだ。
「続いていくよ」
「そうなりますか」
「きっとね、二人共希望は持っていなかったけれど」
絶望、それだけがあったというのだ。今も北都と二人の表情は全く違う。まさに希望と絶望の違いがあった。
「希望はいつもね」
「ありますね」
「そうだよ、人が見えてなくても」
「常にありますか」
「色々大変なことがあっても」
それでもというのだ。
「いつもね」
「希望はある」
「そうだよ、そして希望はね」
今語っているこれはというのだ。
「強いよ、何よりもね」
「そうですか」
「うん、色々な大変なことよりも」
「あらゆる災厄よりも」
「強くてね」
それでというのだ。
「退けてくれるよ」
「ではわらわ達は」
「希望を持ってね、手を打ったし」
牙暁を見て話した。
「後はね」
「どうなるかを見守る」
「そうしよう、今はね」
また牙暁に話した、そしてだった。
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