第四十九話 合鏡その五
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「そうする」
「あくまでそうするつもりなのですね」
「わらわはそなた、そなたはわらわでな」
「まさに裏返し」
「人は必ず善悪、光と闇がある」
その両方がというのだ。
「そなたも人であるからな」
「この世の為に夢見をする中でも」
「その悪、闇がじゃ」
「貴女です」
「わらわ達は善悪が分かれた、そなたの力が強い故にな」
彼女のそのことも話した。
「それこそこの世の全ての先を見られる様な」
「夢見のそれが」
「そなたが善、光であろうとすれば」
「そう思えば思う程その二つが強くなりました」
「そしてそれと共にじゃ」
「貴女も強くなり」
「こうして人格まで得てな」
そのうえでというのだ。
「もう一人のそなたとなった」
「左様ですね」
「そしてそなたの心に憂いがあり」
「それが強くなれば」
「そなたはそこに向かい」
「憂いを抑えることに」
「憂いもまた闇」
それに属するというのだ。
「憂いがあればな」
「そうであるなら」
「そなたは抑えるがわらわの糧となる」
「だから貴女は強くなっていっています」
「そなたを逆に抑えることも近くなるまでな」
そこまでというのだ。
「強くなってきておる」
「だからこそ」
「そなたから出てな」
そうしてというのだ。
「動くぞ。そなたが止めようとしても」
「一瞬でも動ける」
「今のわらわはな、一瞬でよい」
まさにそれだけでというのだ。
「庚は気付いておるが」
「貴女のことを」
「その庚も言えぬ。言えばな」
その時はというのだ、もう一人の丁は全てを見抜き理解している様な顔特に目をそうさせてそうして言うのだった。
「地の龍の為すことがひっくり返る」
「知っているのは他には地の龍の夢見のみ」
「玖月牙暁」
「あの者は目覚めぬ、ならばな」
「わらわを止める者はいない」
「あの者も迂闊に言えぬしな」
自分のことをというのだ。
「庚と同じく」
「貴女を止められない」
「左様、わらわは動けて」
丁が止めても、一瞬でもというのだ。
「そしてじゃ」
「仕掛けることが出来る」
「それで動こう、そしてな」
そのうえでというのだ。
「全てを滅ぼす」
「何としても」
丁は止めんとした、そしてそれは成功したが。
それでもだ、一瞬でもだった。
もう一人の丁は力を放てた、丁はそれを確認して眉を曇らせた。
「そうしますか」
「どうじゃ、これでわからなくなったぞ」
「運命はこれでまたわからなくなりました」
「まさかもう一人の神威がわらわを退けるとは思わなかった」
このことは苦い白い顔にどす黒いものを含ませて話した。
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