氷結の白兎
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
残る残滓が、空気中の冷気を少しずつ温めていく。
だんだんと今の時期に相応しい温度に戻っていくころに、ウィザードライバーのハンドオーサーを操作する。
それはスイッチとしての役割を果たす。魔法陣がウィザードを包み、変身を解除。ウィザーソードガンの本物のみを手にしたハルトの姿に戻っていく。
「君は……?」
ハルトの問いに、彼女は答えない。しばらくハルトとファントムだった破片を見比べ、静かに口を開く。
「意味もなく片方に加担してしまったな」
氷に閉ざされたグールの破片が、氷ごと解けていく。魔力の塊が消失し、虚無へと帰っていく。
「聖杯戦争の参加者同士の潰し合いだと思ったのだがな」
聖杯戦争。
その単語が出て来た時点で、確定してしまった。
ハルトは項垂れるように天を仰ぎ、
「その口ぶりだと、君も聖杯戦争の参加者ってことだよね」
「お前もか」
その言葉を最後に、ハルトと氷結の女性の間に沈黙が流れる。
「……ライダーのマスター、松菜ハルト。仮面ライダーウィザード」
「ウィザード……お前がか」
すでにどこかでウィザードの名を聞いたことがあるのだろうか。
彼女がハルトに手を伸ばすと、やはり氷の塊が生成される。
鋭く研磨されたそれを浮遊させながら、彼女は名乗る。
「ゲートキーパー……と、名乗ればいいのだろうな?」
彼女は静かに目を伏せる。
「ゲートキーパー……って、門番? そんなわけ分からないクラスまであるのか」
「私も門番になった覚えはないのだがな」
彼女はそう言いながら、息を吐く。
もう、周囲の気温は温かい。春を超え、これから夏に向かう準備をし始める季節だ。
それなのに、彼女の周囲だけが冬を切り取ってその場に残している。
「安心しろ。聖杯戦争の魔術師よ」
彼女の開いた目が、氷のごとく冷たくなった。
すると、より一層周囲の気温が下がる。
凍てつく空気が、また春を塗りつぶす。ハルトの吐く息さえも白くなり、体が震え出す。
「少しも苦しませぬように殺してやろう」
「優しい、とは言い難いね。それ」
『ドライバーオン プリーズ』
ハルトは静かに、腰にウィザードライバーを出現させる。
銀で出来たウィザードライバー。気温に電動され、触れるといつもに比べて冷たく感じる。
『シャバドゥビダッチヘンシーン シャバドゥビダッチヘンシーン』
詠唱される呪文とともに、ハルトは手にしたままのルビーの指輪をベルトに押し当てる。
「変身!」
『フレイム ドラゴン』
変身のため、指輪から発生する魔法陣。
同時に、ゲートキーパーの周囲より吹雪が広がる。
さんさんと輝く太陽光を反射する白い景色を阻
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ