第10話:次なる合戦
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ツナ殿だけが渋っている。
「……本当に乗る心算かお前?」
「どうしたのです?いつものセツナ殿らしくもありませんぞ?」
「いつもって……と言うか、これが罠である可能性も―――」
そう言う事か……本当にらしくもありませんぞ?セツナ殿。
「もしもの時は、その罠ごとジョナサン殿を斃すのみです。それが叶わぬなら、無事に逃げおおせたノノ殿の逃げる背中を眺めながら、潔く討死するまでです」
それを聴いたセツナ殿が自分の顔を叩きました。気合いを入れ直したのでしょう。
「そうだな。氷狼族がこんな事で怯えてる様じゃな」
「待たせてすまなかった。出してくれ」
牛車が出発した途端、ジョナサン殿が神妙な面持ちで口を開いた。
「これから行く場所の事は誰にも言うな」
つまり、ジョナサン殿の御大将の許に向かう事を意味するのですな?
そして、某の予想は的中しておりました。
「ロアーヌの要望とは君をその御方に会わせる事だ。詳しい事情は今は伏せさせてもらうが、決して悪いようにはしない。むしろ必ず大きなプラスとなるだろう」
「某の機嫌の事は気になさるな。某は誉れ高い合戦が出来ればそれで十分です」
で、某達が到着したのは、この世界に来て……いや、某が今まで見た事も聞いた事も無い豪勢で巨大で威厳に満ちた建物だった。
「すげぇ」
「豪華ですね」
ノノ殿もセツナ殿も未経験の事の様です。
そこには、2人の護衛と老年の男性が、まるで本陣で鎮座する総大将の様に座っておりました。
「これは非公開の謁見、表向きでは余は貴公らと会っていない事になっている。そこをよく理解しておくがよい」
……さて、鬼が出るか蛇が出るか……
ま、某はどちらでも構わんですがな。
「さて、今宵訪問を許したのは他でもない。冒険者である貴公にやってもらいたい事があるからだ」
「で、それはつまりこの後に行われる合戦に参加して欲しいと……言う事ですな?」
「うむ、実はこの王都は危機にさらされておる。事態が悪化すればほどなくしてこの国は滅亡するだろう。貴公にはそれを解決してもらいたい」
「つまり、この国は敵国に押されて滅びつつあると?」
そんな某達の会話に不安を感じたノノ殿が口を開く。
「その……ていうか、この国を滅ぼす敵国って、どう言う事?」
老年の男性は、間を置いてからノノ殿の質問に答えました。
「単刀直入に言おう。デスアントの女王を討伐してもらいたい」
敵国の総大将の名を聞き、ノノ殿とセツナ殿が驚き過ぎて逆に無反応になっておりました。
「して、そのですあんととの合戦の日取りは、何時なのですかな?」
なんだ?何で黙るんだ?
ですあんとと合戦すると言っておきながら、何故合戦の日取りを素直に申してくれぬ?
「すでに我が軍は壊滅状態だ。失敗したのだよ」
あ……なるほどね。
既にです
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