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イベリス
第百三十話 最高のカードその五

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「それはきっとです」
「昇華出来ますね」
「ですから」
 そうしたものだからだというのだ。
「そうされて下さい」
「わかりました」
 咲もそれならと答えた。
「これからは」
「はい、そして」
「そして?」
「今日のお仕事ですが」
 今度はそちらの話をした、そしてだった。
 咲はこの日も仕事に励んだ、その後で。
 速水は彼女にだ、声をかけてきた。
「占わせてくれませんか」
「私のことをですか」
「はい」
 こう言うのだった。
「これから」
「あの、お金は」
「もらいません」
 微笑んで答えた。
「決して」
「そうですか」
「お店の方ですし」
 それにというのだ。
「しかも私からです」
「申し出られたので」
「だからです」 
 その為にというのだ。
「決してです」
「もらわないですか」
「そうです」
 こう言うのだった。
「決して」
「そうですか」
「ですから」
 さらに言うのだった。
「ご安心を」
「お金のことは」
「そうです、それで宜しいでしょうか」  
 咲に彼女のことを占っていいかどうか確認を取った。
「そうしても」
「お願いします」
 これが咲の返事だった。
「それじゃあ」
「はい、それでは」
 速水も頷いた、そしてだった。
 タロットカードを出して手慣れたと言うのもおこがましい熟練のテクニックを感じさせる手さばきで二十二枚のカードを切った、そしてだった。
 ここでだ、咲に尋ねた。
「占って欲しいのは何でしょうか」
「私の人生を」
 咲はほんの少し考えてから答えた。
「それをお願いします」
「小山さんの人生ですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「そちらを」
「わかりました、それではです」
「今からですね」
「小山さんの人生を占わせて頂きます」
 こう言ってカードを置いていくがその占い方はというと。
 ケルト十字で占いだした、咲は速水がその占い方をしたのを見て言った。
「やっぱりタロットはですね」
「オーソドックスはこれですね」
「ケルト十字なんですね」
「はい、これがです」
 まさにというのだ。
「最もです」
「占いやすいんですね」
「何かとわかりやすいです」
 そうだというのだ。
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