第四十八話 見舞その十
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三人で楽しい時間を過ごした、そのうえで人間というものも確かめ合ったのだった。
護刃は自衛隊病院に赴いた、そして。
草薙が入院している部屋に入った、すると草薙はベッドの上から彼女を見て驚きの顔になって言った。
「おいおい、幻じゃないよな」
「本物ですよ」
護刃は明るい笑顔で応えた。
「お見舞いに来ました」
「そうなんだな」
「犬鬼も一緒です」
「ワン」
「その子も元気そうだな」
「ご覧の通り。ただ草薙さんは」
ベッドの中の彼を見て言った。
「お怪我は」
「この通りだよ」
護刃に苦笑いで答えた。
「暫くはな」
「入院ですか」
「交通事故扱いでな」
それでというのだ。
「ここにいるさ」
「そうですか」
「まあ俺は怪我の回復が早いからな」
護刃に微笑んで話した。
「すぐにな」
「回復されてですか」
「完治してな」
そうしてというのだ。
「退院出来るよ」
「そうなんですね」
「だからな」
それでというのだ。
「心配はしないでくれよ」
「そうなんですね」
「そうさ、ただな」
「ただ?」
「嬢ちゃんが来てくれるとは思わなかったよ」
嬉しそうに言った。
「敵同士だからな」
「今は、ですね」
これが護刃の返答だった。
「けれど戦いが終わったら」
「その関係も終わるからか」
「はい、ですから」
それ故にというのだ。
「少し早いですが」
「来てくれたんだな」
「実は神威さんにも勧められました」
護刃は正直に話した。
「それで、です」
「そうなんだな」
「それで、です」
「来てくれたか」
「そうです」
まさにというのだ。
「それで来てよかったとです」
「思ってるんだな」
「そうです」
「そうなんだな、俺も来てくれてな」
草薙も正直に話した。
「嬉しいよ」
「そうですか」
「ああ」
ここでも正直に答えた。
「有り難うな」
「そんな、そう言ってくれるなんて」
「いや、自衛隊の仲間も来てくれるんだよ」
「そうなんですね」
「同僚に先輩、後輩に上官に部下にな」
「色々な人達が」
「それでな」
「地の龍の皆さんもで」
「嬢ちゃんもだからな、嬉しいよ」
こう言うのだった。
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