暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第7章】八神家が再び転居した年のあれこれ。
 【第4節】同85年の10月以降の出来事。
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はあげないわよ。(笑)」
「そんなコト、一言も言ってませんよ!」
「実は、もう一人、19歳になる養女もいるんだけど、念のために言っておくと、彼女もあなたにはあげないからね。(笑)」
「だから、そんな要求、最初からしてませんってば! 自分が社会的には、もう四十代のオッサンなんだってことは、実家の方で嫌と言うほど思い知らされましたから!(泣)」

 今のバムスタールには、どうにも昔のような気力や覇気がありません。
(そうか。私には娘がいてくれたから、「娘のため」と思えば生きる気力も湧いて来たけど……。バム君はもう、自分の妻や娘を抱きしめることすらできない立場になってしまったんだ……。)
 メガーヌは、つい「昔のように」バムスタールを軽くイジってしまってから、そう気がつきました。
 生き別れは、ある意味、死別よりもずっと(つら)いことです。『自分は離婚に合意などしていないのに、いつの間にか離婚されていた』というのであれば、それはなおさら(つら)いことでしょう。
 やはり、彼をこのまま「18年後の世界」に一人きりで(ほう)り出す訳にはいきません。亡きクイントの身魂(みたま)も、きっとそう思っていることでしょう。
(あるいは、クイントの供養にもつながるかも知れない。)
 メガーヌはそう考え、真顔に戻ってバムスタールにこう言いました。
「それじゃあ、バム君。あなたが私の娘たちには手を出さないことを『前提』として言うけど……本当に行き場が無いのなら、ウチに来る?」
「はい〜?」
 全く予想外の提案に、バムスタールは思わず、変な声を上げてしまいました。

「見てのとおり、私は今、『シュミで』小さなホテルをやってるんだけどさ。近いうちに局からの資金投入も打ち切られるし、そろそろ真面目に黒字を出すことも考えないといけないのよ。まあ、娘はそれなりの『高給取り』だから、赤字のままでも特に困りはしないんだけど」
(いや。継続的な赤字はダメでしょう……。)
「そんな訳で、当ホテルは今、優秀な従業員を約一名、募集中です。(笑)」
「いや……。自分は、その種の経験は全く無いんですが……」
 やはり、今のバムスタールはその種の積極性に欠けています。
「魔導師以外の人生なんて今さら思いつかない、という気持ちも解るけどね。リハビリの次は職業訓練をするぐらいのつもりで来てくれれば……取りあえず、私は昔話のできる相手がいてくれて楽しいかな? ああ。もちろん、従業員の仕事も実際にやってほしいんだけど」
「まあ、話し相手になるだけでメシを食わせてもらう、という訳にもいかないでしょうからね」
 それからも、いろいろ話し合った末に、バムスタールは半ば押し切られるようにしてメガーヌの提案を受け入れ、一旦はミッドのリハビリ施設に戻ったのでした。

【それで
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