【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
【第7章】八神家が再び転居した年のあれこれ。
【第4節】同85年の10月以降の出来事。
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クイントは享年26歳だから、あと8年で『祀り上げ』になる。間に合ってくれて良かったよ」
「ゼスト隊長も亡くなられたと聞きましたが、メガーヌ准尉は今どちらにいらっしゃるんですか?」
「ああ。実は、君が眠っている間に、カルナージにも人が住めるようになってな。彼女は今、そちらで暮らしているんだよ」
そんな会話が一段落した後、バムスタールはふとした疑問を口にしました。
「ところで、お嬢さんはあんな顔立ちでしたっけ?」
「いや。あれは別の娘だ。クイントが死んでから、いろいろあって、また何人か養子を取ったんだよ。今では、男女合わせて8人の子供がいる」
(それは、ちょっと取りすぎなのでは……。)
バムスタールには、兄弟姉妹は弟が一人いるだけなので、なおさらそう思えました。
そして、12月の半ば、バムスタールは外骨格による補助が無くても普通に歩けるようになると、早速、ゲンヤから教わったとおりにチャーター便でカルナージへ行き、メガーヌ(戸籍上、45歳)の許を訪ねました。
「准尉殿。長らく御無沙汰しておりました」
「あらあら。ゲンヤさんから話には聞いていたけど……バム君ったら、本当に随分と若返っちゃって。(笑)」
「いや。決して若返ってはいないんですけどね。ただ単に『ほぼ当時のままだ』というだけのことで。(苦笑)」
そうして、バムスタールは、在職中には上司のクイントにすら語る機会の無かった家庭の事情をメガーヌに語り始めました。
まず、自分の実家「ノグリザ家」が、決して「格式のある名家」という訳ではないけれど、相当の資産を持った「それなりの良家」である、ということ。
次に、自分は長男だったが、家はとっくの昔に弟が継いでいた、ということ。
そして、あの当時、自分は新婚で、妻も妊娠中だったが、その愛妻もいつの間にやら弟と再婚しており、自分の娘ももう17歳になっていた、ということ。
さらには、彼女自身は継父を実父と信じて育っており、すでに彼女には「種違いの弟妹」もいて、元妻にも『何故あなたが普通に生きているの? 今さら私にどうしろって言うのよ!』と泣かれてしまった、ということ。
「あまりにも気まずくて……あと一か月ほどでリハビリも完了するんですが……いくら正式に退院しても、自分にはもう帰るべき家がありません。18年の昏睡は、あまりにも長すぎました」
それを聞いて、メガーヌも、『自分も8年ほど昏睡していたが、目覚めた時には、もう夫もその両親も自分の両親も死んでおり、娘が一人、生き残っていただけだった』という話をします。
「そうか。あれから18年ということは、あの時のお嬢さんが、もう二十歳になってるんですね……」
「念のために言っておくけど、バム君。あなたに娘
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