暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第7章】八神家が再び転居した年のあれこれ。
 【第4節】同85年の10月以降の出来事。
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 そうした考えも踏まえた上で、今年の4月に、シャマルとザフィーラが見つけて来た転居先は、首都クラナガンから北へ100キロあまりも行った場所(ところ)にある、『周囲は360度、地平の果てまで小麦畑しか無い』という、とんでもなく辺鄙(へんぴ)な土地でした。
 地理的には「タナグミィ地方(広義の首都圏地方)のド真ん中」なのですが、全く文字どおりの意味で「人里(ひとざと)を遠く離れた土地」です。敷地の門扉(もんぴ)から北へ伸びる「私道も同然」の道路を何百メートルも行かないと、一般の道路に出ることすらできません。
 元々は、ここ一帯の大地主が住んでいた「広大な屋敷地」だったのですが、ミッド貴族の末裔であるその大地主夫婦が、『息子たちも口を揃えて、「悪いけど、父さんの後は継がない。今時、こんな辺鄙(へんぴ)な土地には暮らしたくない」と言うし、もはや老朽化した家屋を建て替えるだけの気力も無い。最近では、耕作者の大半が自分の耕作地を買い取りたがっているし、もういっそのこと、土地も何もかも売り払って、自分たちも「便利なクラナガンの郊外」で余生を過ごそうか』などと言い出したので、本来の相場よりもだいぶ安い額で譲ってもらったのです。

 さて、ミッドの〈中央部〉には、大昔から「岩盤が?()き出しになった、ドーム状の丘」があちらこちらに(特に、首都圏地方から、クヴァルニス地方、トゥヴァリエ地方、ザスカーラ地方にかけて)点在していました。
 直径は大半が1キロメートルたらず、高さも大半は100メートルたらずで、いずれも「岩山」と呼んでしまうには、いささか小さすぎ、傾斜も(ゆる)すぎます。
 その屋敷地も、もう何百年も前に、そうした「ドーム状の丘」の堅固な岩盤を地面に近い高さにまで水平に削り取って強引に作られた土地でした。
 周囲の農地と比べると、高さは人間の背丈の二倍ほど高くなっており、上面の直径はほぼ500メートルほどです。
【つまり、上面の総面積はおよそ20ヘクタール・六万坪ほどで、斜面の部分まで含めれば、土地の総面積はざっと一割増しとなります。
ただし、地価は都心部の宅地と比べると、ほとんど一千倍もの開きがあるので、首都クラナガンの都心部で言えば70坪たらずの土地と似たような金額なのですが、それでも、日本円に換算すると「本来の」相場は軽く億を超えています。】

 その中で、家屋が建てられているのは中央の100メートル四方、1ヘクタールほどの区画だけでした。
 そうした居住区画の外側は、元々はドッグランに使っていた以外にも、わざわざ周囲の農地から土壌を持ち込んで「趣味の菜園」などに使っていたようですが、今では、それももうすっかり荒れ果てています。
 はやてとザフィーラが半年間の「出張任務」で出かけている間に、シャマルとリインはまず業者を呼んで、上面の
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