暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第7章】八神家が再び転居した年のあれこれ。
 【第2節】ユーノ司書長まで参加した合同訓練。(前編)
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 アインハルトを敵陣に送り出すと、ギンガはウイングロードを手前に引き戻しながら、(こぶし)を構えました。このままメルドゥナと()(こう)勝負をしようと言うのです。
「さて、デュマウザの自慢の妹がどれほどの腕前か見せてもらおうかしら!」
「姉の名誉にかけて、及ばずながら、お相手つかまつりましょう!」
 夜のような暗さの中で、交差点を舞台に、息も詰まるような「タイマン勝負」が始まりました。
 とは言え、メルドゥナは「パワーでは」すでにギンガを圧倒しています。

〈ヘヴィロッド〉の外見は、基本的には「長さ2メートルあまりの(こん)」でした。中央部は普通に握れる太さですが、端へ行くほど太くなり、両端部は人間の脹脛(ふくらはぎ)ほどもの太さになっています。
 このヘヴィロッドは、彼女の父方祖父で(もと)執務官でもあるガドレウスが「可愛い孫娘」のために相当な金額を()ぎ込んで造らせた特注品なので、実に多彩な機能を持っている「はず」なのですが、メルドゥナは普段、これをほぼ「鈍器」として利用していました。
 彼女はすでに、以前はあれほど苦手だった「慣性コントロール」をも巧みに使いこなしており、相当な重量の金棒(かなぼう)を、並みの魔導師には全く真似(まね)ができないほどの速さで振り回して来ます。
 一方、ギンガは、クイント譲りの『パワーはそれほど関係ない。刹那の隙に相手の急所へ必殺の一撃を叩き込めれば、それで良い』という考え方の持ち主でした。
(この件に関しては、StrikerSのコミックス第2巻を御参照ください。)
 ギンガはウイングロードも駆使して、当たれば一発で致命傷になりそうな鈍器を巧みに(かわ)しながら、必殺の一撃を狙い続けます。

 一方、アインハルトは当初の作戦どおり、メルドゥナの防衛線を突破すると、そのまま有無を言わせぬ速攻で、敵の後衛二人を強襲していました。
 確かに、『敵が準備を整える前に叩く』という考え方それ自体は、決して悪くはないのですが、それでも、いくら周囲を暗くしてあるとは言え、速さを重視して姿も隠さずに突っ込んで行くというのは、やはり、『この強敵を相手にしては、無謀だった』と言わざるを得ません。
 ユーノは当然のごとく、アインハルトにバインドをかけました。もちろん、アインハルトも得意の「アンチェインナックル」で、それらのバインドを次々に引き千切(ちぎ)っていきます。

【ちなみに、英語の「アンチェイン(unchain)」は他動詞なので、文法的には分詞形にする必要があるような気もするのですが、ここでは原作に従っておきます。
 また、この語法に合わせて、以下の場面で「ユーノが使う魔法」の名称も、分詞形などは使わずに「インクリースバインド(increase bind)」と呼ぶことにします。

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