暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第7章】八神家が再び転居した年のあれこれ。
 【第1節】新暦85年、8月までの出来事。
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せるかどうか』という「熱い展開」になるはずでした。
 しかし、前年度準優勝者のリンギア選手(17歳)もまた、事前の予想に反して、エリートクラスの一回戦でいきなり新人(ルーキー)のエトラ・ヴァグーザ(12歳)に敗退し、ヴィヴィオと同様に、そのまま引退してしまいます。

 また、ヴィヴィオを倒した新人(ルーキー)ヴァスラ・クランゼ(12歳)は、三回戦ではそのエトラ・ヴァグーザをも倒し、さらに勝ち進んで、8月下旬の予選決勝ではジャニス(19歳)をも判定で下し、一気に都市本戦への進出を決めました。
(まるで79年のミウラのように!)
 また、コロナ(16歳)も不覚を取って、久々に地区予選の準決勝で敗退し、そのまま選手を引退します。
 一方、アンナ(16歳)は、再び都市本戦に進出。ファルガリムザ姉妹(13歳)も、2年目にしては悪くない成績でした。

【突然ですが、この節の最後に、このエトラ・ヴァグーザについても、少しばかり詳しく述べておきます。
 彼女は新暦73年の生まれで、出身は「意外と移民の多い」セレムディ地方ですが、彼女自身は生粋(きっすい)のミッド人です。髪は黒褐色の直毛で、肩甲骨を丸ごと覆うぐらいの長さ。体格はやや小柄で、大人になっても160センチ程度。地元の魔法学校の中等科と高等科に通った5年間はIMCSにも出場しました。
 流派は、剣術と柔術を巧みに組み合わせた「双月流」で、『刀を持ったままで、相手を投げ倒しながら斬る』など、初見では随分と奇抜な動きのようにも見えますが、実は、相当に合理的で実践的なスタイルの総合武術です。

 彼女はまず、85年の第33回大会では、スーパーノービスクラスで初出場しました。初戦は緊張のあまり、ボテボテの泥試合になってしまいましたが、かろうじて判定勝ちとなります。
 次のエリートクラス一回戦では、相手(リンギア・ヴリージャス選手)が昨年の都市本戦準優勝者だったので、「ダメで元々」とばかりに勢いよく飛び込んで行きましたが、それがかえって功を奏したのでしょう。思わぬ大金星(だいきんぼし)となりました。
 エトラはそのままの勢いで、同日午後の二回戦にも勝ちましたが、後日、「12歳の新人(ルーキー)対決」となった三回戦では、不覚にも格闘型のヴァスラ選手にKO負けを(きっ)します。
(その後、そのヴァスラ選手が一気に都市本戦まで勝ち進んだのを見て、『これほどの相手だったのなら、私が負けても仕方ないか』と、自分で自分を納得させました。)

 翌86年には、ヴァスラ選手は「何故か」もう出場していませんでしたが、エトラは予選準決勝で、今度は「覇王流の」アンナ選手(17歳)にKOされ、それ以降、彼女はアンナを「ライバル」と見做(みな)して、さらなる鍛錬に励みました。
(この年、アンナは都市本戦で3位に入賞
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