暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【プロローグ】新暦65年から94年までの出来事。
 【第7章】八神家が再び転居した年のあれこれ。
 【第1節】新暦85年、8月までの出来事。
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遮蔽装置」が稼働していなかったのであれば、あの避難船も遺跡と同時に、たとえ軌道上からでも発見できていたはずなんです。
 しかも、七百年以上も前に避難民が全滅してから、スクライア一族が来るまでの間、ドルバザウムは完全に無人の世界だった「はず」ですから、遮蔽装置が最初に稼働し始めた時期というのは、少なくとも現時点では「避難民が全滅する以前」を想定せざるを得ないんですよ』

 そうした話を聞いて、ユーノは独り静かに考えました。
(だが、もし本当に技術的には可能なのだとしても、わざわざ遮蔽(しゃへい)をする「意味」が解らない。『一時的な避難のつもりで、ベルカ世界にいる誰かから身を隠していた』と言うのならば、なおのこと、ベルカ世界への航路が崩壊した時点で遮蔽を解除しなかった理由が解らない。
 それに、当時から遮蔽していたのであれば、〈ジュエルシード〉もそのまま船の機関部に隠しておいた方が発見されずに済んだはずだ。何故あんな中途半端な隠し方をしたのか?)

 実は、ユーノは以前から「まだ全体像(かたち)が見えて来ないパズル」を完成させるためのピースをずっと探し続けていたのでした。
 普通の人間ならば、とうの昔に()をあげて(ほう)り出しているような、全く文字どおりの意味で「気が遠くなるような作業」です。

 ユーノはさらに、こう考えました。
(あるいは、新暦12年から62年までの間に「誰か」がひっそりとドルバザウムに来て、〈ジュエルシード〉の存在には気づかぬまま、その船の遮蔽装置だけを稼働させ、機関部への通路を封鎖して去って行った? それはそれで、随分と奇妙な話だが……少なくとも遺跡の側には、「避難民の滅亡後、スクライア一族の来訪前」に、誰かがそこを訪れた形跡など全く無かった。
 もし本当に「誰か」が来ていたのだとしたら、その誰かは一体何をしに、わざわざあんな辺境の無人世界になど来たのか? そして、何故あれほど完璧に「自分がそこにいた痕跡(こんせき)」をすべて消し去って行ったのか?)

 まだまだ情報が不足しており、これ以上は今ここで考えても、どうにもなりません。ユーノは、ダールヴに引き続き調査と報告を続けるように依頼しました。


 また、少しだけ(さかのぼ)って、7月下旬には、IMCS第33回大会が始まりましたが、「ミッド中央」の地区予選は久々に大荒れの展開となりました。
 まず、ヴィヴィオ(16歳)はエリートクラスの一回戦で「現実に」右膝の靱帯(じんたい)を損傷してTKO負け。これを最後にIMCSの選手を引退します。
 事前の予想としては、『ヴィヴィオは「当然」これに勝ち、二回戦にも勝って、後日、三回戦では「こちらも当然に勝ち上がって来た」リンギア・ヴリージャス選手との再戦となり、昨年の都市本戦「準決勝戦」の雪辱を晴ら
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