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遊戯王EXA - elysion cross anothers -
TRICLE STARGAZER
TRSG-JP008《このアド絶対おかしいよ》
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とある駅前のカードショップ。その店内で、携帯電話の着信音が鳴り響いた。しかし大会を間近に控えていたためか、その音さえも店内の騒音の中に溶け込んでいく。
「うわ、マナーモードにするの忘れてた!」
そんな中、一人の少年が慌ててポケットから赤い端末を取り出した。言うまでもなく、音源はそこである。ケータイの音量を消し、メールの送り主を確認する。
御剣
(
みつるぎ
)
照
(
てる
)
。それが少年の名であった。赤銅色の跳ねた髪は整えられたものではなく、所詮寝癖である。
「メール?」
「ああ」
彼に一人の少女が声をかける。黒く長い髪を腰の辺りまで伸ばした少女もまた、彼と同じく大会のためにこの店に来ていた。
と、彼女の携帯電話も振動する。少女は慣れた手つきで携帯電話を操作し、メールの主を確認した。
FROM:沙耶
「さーちゃんからだ」
「沙耶から……あれか? また向こうで武力介入するから遅れるってか?」
「あはは……沙耶ちゃんならやりかねないね」
恐らく武力介入に付き合わされるであろう蓮とゆみなには同情の意味を込めて心の中で合掌する準備をしておく。
二人が同時にメールの本文を開く―――その内容は、しかし彼らの予想を大きく外れたものだった。
―――曰く、交通事故の犠牲者が立ち去るのをを目撃したため帰る……と。
「「…………はい?」」
二人の思いは、もはや言うまでもなく一つになっていた。どういうことなの、と。
一枚の写真がメールに添付されていたことに気づき、それを二人は開く。
「……なんだよ、これ」
写真に撮されていたのは、車道を歩く血まみれの少女。その瞳は不気味に紅く煌めき、黒髪であるが故にその少女が常識から外れた存在であると理解させる。
彼女こそが沙耶の記した交通事故の被害者なのだろう……が、何故そこまで平然とした表情をしているのだろうか。本来ならば、そのような表情はおろか、あまりの苦痛に立つことさえ遮られてしまうはずだ。かつて交通事故に巻き込まれ、運良く一命をとりとめたことのある彼にはわかる。
……では、これは何だ? この表現することも憚られる、現実から遥かにずれた画像は何だ?
「……なあ、これどういうことか分かるか?」
「嘘……でしょ………!?」
照が意見を聞こうと振り向いたとき、少女は愕然とした表情で携帯の画面を見つめていた。携帯の画面を閉じ、突如彼女は走り出す。
「ごめん、照くん! 私、沙耶ちゃん達迎えに行ってくる!」
「は? え、ちょっ、おい!」
彼を取り残して、少女は慌てて店を出た。呉風学園に向かう一本道を出せる限りの全速力で走っていく。その姿を、照はただ呆然と見ていることしか出来なかった……。
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