第二章
[8]前話
リビングに出て兄に言われた動画を観て言った。
「ああ、歯を磨かないとね」
「本当にこうなるのか?」
兄は真顔で尋ねた。
「歯を磨かないと」
「歯茎が腐って歯がどんどんなくなって」
「残った歯もボロボロになってな」
「お口のからバイ菌入って顎にもいって」
「顎も酷いことになるってな」
「この動画知ってるわ」
これが妹の返事だった。
「私この動画観てね」
「そうしてか」
「毎食後磨く様になったのよ」
「そうだったのか」
「怖いでしょ」
「滅茶苦茶な」
兄も否定しなかった。
「洒落になってないな」
「ここまでなるには何十年もだけれど」
「磨いていないとか」
「なるけれど」
それでもというのだ。
「普通にちょっと磨いていないと」
「虫歯にもなるか」
「それで痛くなるし」
虫歯がというのだ。
「歯周病にもなるし歯が悪いと他の部分にもね」
「影響するか」
「そう、集中出来ないし」
歯の痛みでというのだ。
「傷口からバイ菌入るし」
「僕達が観た漫画動画みたいにか」
「あそこまでならなくてもよくないし」
傷口からバイ菌が入ることがというのだ。
「最初からね」
「よく磨いておくことか」
「そうよ、あの動画みたいになりたくないでしょ」
「本当に怖かったよ」
「私もそう思ったし。それじゃあ」
「僕も磨くな」
「そうしてね」
兄に切実な声で言った。
「本当に」
「そうしていくな」
「ええ、それじゃあね」
「歯磨きしていくな」
「三食後いつもね」
「絶対にな」
妹に言ってだった。
武蔵は実際に三食後絶対に歯を磨く様になった、そしてずっと歯と口は清潔でそこから健康であり続けた。あの動画の様になりたくないと思いつつ。
妹が歯を磨けと言う理由 完
2023・12・19
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