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星河の覇皇
第八十五部第四章 メキシコの思惑その十

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「見たいものです」
「連合四兆の人間全てにそれぞれの癖がある」
「左様ですね」
「確か」
 ガラサはこうも言った。
「ある野球選手で癖がない」
「そう言われる選手がいたのですね」
「ピッチャーでしたが牽制球が上手く」
「中々盗塁をさせなかったのですね」
「相手から見ればさせてくれなかった」 
 ピッチャーの方から見ればさせない、相手ランナーの方から見ればさせてくれない。それぞれの立場によって状況が違うのがスポーツだ。
「そうでした」
「そして牽制球のですか」
「そうです、癖をです」
 それをというのだ。
「ランナーは必死に探し」
「見付けたのですね」
「確かに癖のないピッチャーでしたが」
 それでもというのだ。
「その映像を何百回と見ますと」
「癖がわかったのですか」
「牽制球を投げる時に」
 まさにその時にというのだ。
「右足が数ミリ上がる」
「数ミリですか」
「ほんの」
 まさにほんの、そうした口調での言葉だった。ガラサはその言葉を出しつつそのうえでスクランブルエッグを食べた。
「上がったそうで」
「それが癖でしたか」
「そのピッチャーの」
「それがわかったので」
「何とかです」
「盗塁が出来る様になったのですね」
「はい、とにかくです」
 このピッチャーの話を見てもというのだ。
「個性はです」
「人間ならですね」
「必ずあるもので」
「カバリエ外相も然りですね」
「例えば同じ中央政府の閣僚で八条長官は」
 ガラサはその彼の話もした。
「どういった癖があるか」
「それはですね」
「はい、確かに優れた政治力を持っていますが」
 それでもというのだ。
「表の手段しかなく」
「裏はですね」
「ありません」
 そちらの手段は執らないというのだ。
「あくまで表だけの人です」
「それは有名ですね」
「謀略の類は一切使わず」
「汚れ仕事はせずに」
「奇麗ごとで、です」
 それでというのだ。
「全てを進める人です」
「左様ですね」
「ですから」
 それでというのだ。
「そこが狙い目となります」
「あの長官殿の癖は」
「あの御仁も強敵ですが」 
 ガラサは今度は野菜スティックを食べている、細長く切った人参や胡瓜、ズッキーニ等にバーニャパウダーを付けつつ食べている。
「しかし」
「表しかない」
「ですから」 
 それでというのだ。
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