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イベリス
第百二十九話 すっきりしてその十一

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「あの頃の西武強かったから」
「広岡さんの頃は」
「それで森さんの頃はね」
「滅茶苦茶強かったのよね」
 咲もそれはと言った。
「毎年日本一になる位の」
「お母さん達が学生の頃はね」
「平成の最初の頃よね」
「昭和の終わりでね、お母さんはまだ子供の頃に」 
 その頃にというのだ。
「広岡さんが監督で」
「それから森さんになったのね」
「兎に角強かったけれど」
「そうしたお昼だったの」
「そうよ、ただ好きなだけ食べていいから」  
 笑顔でだ、母は娘そして姪に言った。
「どんどん食べてね」
「そうさせてもらいわね」
「私もです」
「ええ、それでね」
 二人にさらに言うのだった。
「咲はアルバイト夕方からでしょ」
「そうなの」
 咲は正直に答えた。
「行って来るわね」
「それまでは愛ちゃんと一緒にいるのよね」
「そうするわ」
 咲はまた正直に答えた。
「それまでね」
「じゃあお昼食べたら」
「ちょっと行って来るわ」
「そうしてね、愛ちゃんが一緒なら」
 母は微笑んでこうも言った。
「お母さんも安心よ」
「そうなの」
「最近ちゃらちゃらしてどうかと思っていたけれど」 
 愛のファッションがというのだ。
「よく見たら元の愛ちゃんのままで」
「しっかりしてるわね」
「だからね」
 それでというのだ。
「お母さんもね」
「私がお姉ちゃんと一緒なら」
「安心してね」
 それでというのだ。
「任せられるわ」
「そうなのね」
「多分お父さんもね」
「はい、咲ちゃんは絶対に悪いことにはならない様にしますんで」
 その愛も言ってきた。
「ですから」
「任せてっていうのね」
「はい」
 こう咲の母に言うのだった。
「是非」
「それじゃあね」
 愛のその言葉に笑顔で応えた。
「その言葉信じるから」
「だからですね」
「今日も咲をお願いね」
「アルバイトまで」
「それでね」
 さらに言うのだった。
「アルバイトはね」
「うん、今日も頑張って来るわ」
「そうしてね」
「いや、今はね」
 母には失恋のことを言わずに話した。
「やれるわ」
「元気になのね」
「そうだから」
 それでというのだ。
「アルバイトやってくわ」
「そうしなさいね、働いてお金を稼ぐことはね」
「いいことよね」
「色々なことも学べるしね」
「世の中のことも」
「だからね」
 そうであるからだというのだ。
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