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第四十八話 見舞その五

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「それだけだと思っていたわ」
「一緒にいて絆を感じてか」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「友達になるなんてね」
「思わなかったな」
「ええ」
 全くというのだ。
「本当にね」
「そうか、ならな」
「それならなのね」
「これからも封真と一緒にいてくれ」
「貴方はそう思うのね」
「ああ、俺とあいつは今も絆があるが」 
 それでもというのだ。
「絆は幾つあってもいいな」
「そうね、それだけ人は多くの大事なものを得られてね」
「幸せになれるな」
「そうなるわ」
 神威に確かな声と顔で答えた。
「間違いなくね」
「そうだな、それならな」
「私達もね」
「是非な」
 それこそというのだ。
「一緒にいてくれ」
「仲間そして友達として」
「ああ、そしてな」
 それでというのだった。
「そちらも見舞をか」
「するわ、ではね」
「ああ、またな」
「泣いても笑ってもあと少しで終わるけれど」
 颯姫は戦いの話もした。
「悔いのない様にしてね」
「俺への言葉か」
「そう聞こえなかったかしら」
「いや、そう言われるとは思っていなかった」
 神威は颯姫を見据えて答えた。
「だからな」
「そう言うのね」
「ああ、しかしな」
 それでもというのだった。
「その言葉受け取らせてもらった」
「確かに」
「そしてだ」
「実際に悔いのない様にしていくわね」
「そうする、俺は小鳥も封真も護る」
「敵味方でも」
「そうする、ではな」
 ここまで話してだ、神威はまた言った。
「俺達は他の場所に行くからな」
「今日はこれでね」
「お別れだな」
「また合いましょう。そして猫依さん」 
 颯姫はこの場ではそれまで黙っていた護刃にここで声をかけた。
「犬鬼だったわね」
「はい、そうです」
 子犬となっている彼を見つつ答えた。
「犬鬼が何か」
「子犬になったけれど元気そうね」
 颯姫はその彼を見て優しく微笑んで述べた。
「よかったわ、ではこれからも一緒にね」
「犬鬼と暮らせばいいんですね」
「そうしてね、その子も無事でよかったわ」
「そうですか」
「命はなくならない方がいいから」
 それ故にというのだ。
「子犬になったけれどまた育つわね」
「そうなります」
「やっぱり一年位でかしら」
「成犬になります」
「じゃあ少しの間ね」
「子犬の犬鬼と一緒にいます」
「そうしてね、それじゃあ」
 ここまで話して護刃にもこの言葉を贈った。
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