第一章
[2]次話
失業してもめげるな
働いていた会社が突如倒産してだ、高橋快彦面長で濃い眉ときりっとした顔立ちに黒くセットした髪の毛と一七八程の引き締まった体格の彼は落胆した、それでだ。
社長が夜逃げして大騒ぎになっている会社を出てからだ、兄で自分そっくりの外見をしているサラリーマンの義重に携帯で事情を話した。
「こういうことでな」
「それはまた災難だな」
「ああ、いきなりのことでな」
こう兄に言うのだった。
「正直言ってな」
「落ち込んでるな」
「茫然となっててな」
それでというのだ。
「どうしようかってね」
「そりゃそうなるよな」
兄もそれはと返した。
「やっぱりな」
「ああ、仕事中に悪いな」
「いや、別にいいさ」
「いいんだな」
「仕事はじまる前だしな、しかしお前これからな」
「どうするかだよな」
「会社倒産してもな」
そうなってもというのだ。
「やっぱりな」
「生活あるからな」
「そうだろ」
「ああ、まだ八時にもなってないけれどな」
朝出勤したら会社の入り口が閉まっていて倒産したとの張り紙があったのだ。
「どうしようか」
「俺もいきなり言われてわからないが」
それでもとだ、兄は弟に言った。
「とりあえず落ち込むな」
「落ち込んでるよ」
「やっぱりそうなるな」
「いきなり失業したからな」
「そうだな、しかしな」
それでもというのだ。
「めげるな、気を少しでもな」
「とりなおすことか」
「ああ、まずは近くの喫茶店でも行って」
そうしてというのだ。
「モーニングでも食え」
「朝飯食ったけれどか」
「朝飯の分にさらに食ってな」
その様にしてというのだ。
「腹膨らませ、人間腹一杯なら落ち着くし気持ちも明るくなる」
「だからか」
「まずは食え、そしてな」
「それからか」
「ああ、食えよ」
「それじゃあな」
ここは兄の言葉に頷くことにした、そしてだった。
彼は兄とのやり取りを終えるとたまたま目に入った喫茶店に入った、そこで兄に言われるままモーニングを頼んでだった。
それを食べた、すると確かに気持ちが落ち着いて明るくなった。落ち込んでも仕方ないし仕事が必要と思ってだ。
喫茶店を出るとその足でハローワークに行った、それから一ヶ月後だった。
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