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強気な姑の苦手な人
第一章

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                強気な姑の苦手な人
 釈陽子の義母夫である敏明の母美紀は非常に気が強い、いつも堂々としていて凛としていて曲がったことは許さない。 
 生真面目でいつも身だしなみを整えている、厳格な人間だが。
「母さんあれでね」
「あれでっていうと?」
「うん、お祖母ちゃんには弱いんだ」
 新婚早々妻に話した、夫は痩せていて面長で切れ長の穏やかな目と細い眉で黒髪を真ん中で分け後ろ毛を短くしている。妻は黒髪をショートにしていて面長ではっきりした長い睫毛の目と奇麗なカーブを描いた眉ですらりとしたスタイルで胸が大きい。夫の背は一七三位で妻は一六六程だ。夫の仕事は鉄道会社の技術者で妻はデパートの社員である。今は二人でマンションに住んでいる。
「これがね」
「お義祖母さんって別に」
 白髪で丸眼鏡をかけた小柄な優しい顔立ちの唯を思い出して言った。
「怖くないというか」
「物凄く優しいよ」
「そうよね、まだあまりお話していないけれど」
 新婚早々だからお互いの家庭のことはこれからなのだ。
「凄くいい人よね」
「うん、けれどね」
「お義母さんお義祖母さんにはなの」
「物凄く弱いんだ」
「あのお義母さんが」
 セットした黒髪を長く伸ばしきりっとした吊り目で引き締まった赤い唇で長身で背筋がよく五十を過ぎてもスタイルのいい彼女のことを思いつつ言った。
「想像出来ないわね」
「それでもね」
「お義祖母さんにはなの」
「頭が上がらないんだ、今度法事があるから」
「その時になのね」
「行けばわかるよ」
「それじゃあね」
 陽子は敏明の言葉に頷いた、そうしてだった。
 その法事に出た、法事自体はつつがなく終わったが。
 その後の親戚が集まっての宴会の時にだ、義母は。
 義祖母に自分の夫や義父よりもまず彼女を見て何かないかと聞いてせっせと動いていた、そして義祖母が何か言うと。
「は、はいわかりました」
「いつもご苦労様」
「とんでもないです」
 非常に謙遜して応えていた、結婚前に挨拶に行った時からだ。
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